3度の改名を経て、平尾昌晃さんの「よこはま・たそがれ」を機に、スター街道を上った歌手、五木ひろし(69)が23日、大阪・新歌舞伎座の座長公演千秋楽で、平尾さんをしのんで「よこはた・たそがれ」「ふるさと」「別れの鐘の音(ね)」を歌い、追悼した。

 座長公演2部のショー。五木ひろしとしてのデビュー曲になった「よこはま-」を「私の原点です」と言い、熱唱。カーテンコールで共演者全員がはけた後には、21日に肺炎のために亡くなった平尾さんをしのび「昨日突然、平尾先生の訃報が届きました。人はいつか別れの時がくるものですが、やはり悲しく、寂しい」と、声を震わせながらあいさつした。

 五木はもともと、別名でデビュー後、鳴かず飛ばずで、2度改名。「三谷謙」として、オーディション番組「全日本歌謡選手権」に出場し、グランドチャンピオンに輝き、再デビュー権を得た。

 同選手権の1週目ゲスト審査員が平尾さん、2週目が「よこはま-」を作詞した故山口洋子さんだった。71年に「五木ひろし」として、平尾さん作曲、山口さん作詞の「よこはま・たそがれ」でデビューし、ヒット歌手の仲間入り。五木は山口さん、今年2月に亡くなった作曲家の船村徹氏(享年84)とともに、平尾さんの3人を「五木ひろしの大恩人」として、慕っていた。

 五木は、73年に「夜空」でレコード大賞を獲得したが、これも平尾さんの作品。この日のステージでは「平尾先生、山口先生がいなかったら、五木ひろしはいなかった。本当に心から、ありがとうございますと言いたい」と話すと、深々と頭を下げていた。