落語家桂ざこば(69)が29日、神戸市内で、「ざこば南光二人会」に出演し、「塞栓(そくせん)性脳梗塞」などから約2カ月ぶりに仕事復帰し、席上で突然、一昨年3月に亡くなった師匠の名跡「桂米朝」を名乗り、一門やスタッフは「襲名宣言?」と騒然となった。

 5月末に倒れ、この日から仕事を再開したざこばは、本格高座ではなく、あいさつからスタート。倒れた当時や病状、リハビリ具合を説明し、現在は、ネタを演じて「高座復帰」できるよう努めていると近況を報告した。その最後だった。

 「頑張って、あれ(リハビリ)しますんで、米朝をひとつ、よろしくお願いいたします」

 この瞬間、ざこばが自身を「米朝」と言ったことで、事務所、楽屋裏は爆笑しながらも、「え~っ、(襲名して)米朝になるんか!」と騒然。ざこば本人は堂々とした様子で戻ってきたものの、続いて登場した桂南光(65)もビックリ。驚きながらも、ざこばいじりの「まくら」で客席をわかせた。

 南光は「本人は言いにくいとか、言うてますけど、正直、どこまでが本当か分からないです」と苦笑。「それが証拠に今、『米朝をよろしく』言うてましたからね」。ざこばの突然の襲名宣言? を平然とネタにして笑わせた。

 南光はさらに「まあ、息子は米団治を継いでますから、名前(米朝の名跡)は空いてますけどね。これね、どっかで自分が米朝になろうと思ってるから、言葉に出てくるんですよ」と続け、一門筆頭の立場にある兄貴分の復帰を祝福した。

 なお、事務所によると、出番を終えたざこば本人は「は? 米朝? おれ、言うてない」と答えたそうで、ざこばは「米朝一門」と言ったつもりなのか、腹の中に「米朝襲名」があるのか、謎に包まれたままだ。