米歌手アリアナ・グランデ(24)が10日、来日公演を千葉・幕張メッセでスタートさせた。5月の英マンチェスター公演直後に発生した会場外の自爆テロで、ファンら22人が死亡した事件後、日本公演は初。警備スタッフは通常ライブの倍以上。グランデの公演がテロ対象になったことで、警察官多数による厳戒態勢が敷かれた。通常、ライブは主催者の自主警備だけ。警察官の出動は異例だ。

 千葉県警は銃器で武装したテロ対策部隊や爆発物処理班を配置。会場内の入り口2カ所には、警察官と爆発物探知犬の大型シェパード2頭がそれぞれ配置された。関係者によると警察犬が同所のライブに出動するのは初。珍しい警察犬に「かわいい~」と言いながら、スマホで警察犬とのツーショットを自撮りする10代女性も続出した。

 開演2時間前の午後4時開場。隣接する広いイベントスペースで荷物検査とボディーチェックが行われた。40センチ×27センチ×5センチの100%無色透明バッグの持ち込みだけ許可された。荷物検査は20列以上設けられ大きな混乱はなかった。来日公演は最新アルバム「デンジャラス・ウーマン」を引っ提げた世界ツアーの一環。12、13日も含め3日間開催予定。ツアーはテロ以降5公演を中止したが、6月7日パリ公演から再開した。

 歌手Beverly(23)がオープニングアクトを務めた後、午後7時過ぎにグランデが登場。「私と一緒に歌って。トーキョー、カモン!」と1万6000人にあいさつ。1時間40分にわたり、20曲以上をパワフルに歌い上げた。

 テロ事件には触れなかったが、6月4日の英マンチェスターでのチャリティー公演で歌った名曲「虹の彼方に」を披露。同曲ライブ音源を配信し、収益を被害者支援に充てている。予定にない同曲を披露し、被害者支援を呼び掛けるメッセージを込めたとみられる。