元AKB48秋元才加(29)が出演する、大竹しのぶ主演舞台「にんじん」を観劇しました。

 大竹さんが38年ぶりに再演する同作は、ほかにも名女優が出演しています。大竹さんに、シス・カンパニーのキムラ緑子さん、元宝塚の男役だった真琴つばささん。秋元さんも「あんな深みはまだ出せないなぁ。みなさんのように、いい年齢の重ね方をしたいな」と、いい刺激を受けているようです。

 大竹さんは14歳で家族にまでいじめられる少年を、キムラさんはNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で演じたような、意地悪な母親を、真琴さんはサバサバした家政婦を演じています。どれも個性ある役柄。その中で、秋元さんは、自分のことしか考えない姉役。インパクトはそれほど強くない役柄でしたが、舞台では、でしゃばらず、埋もれず、しっかりと役割を果たしていました。

 もともと、AKB48メンバー出身の女優の中では、舞台向きのダイナミックな演技が持ち味のタイプ。喜怒哀楽のメリハリもはっきり出せるだけに、存在感が強すぎる場合もありました。でも、キャリア豊富なベテラン女優の中に入った今作では、いい具合に「普通」に徹していたのです。間違いなく、秋元さんの新しい面が生まれていると感じました。

 AKB時代から長らく取材しているので、不器用な性格なのをよく知っています。ですが、こと演技にかんしては、器用なんです。三谷幸喜さんら、著名な演出家たちからの出演オファーが堪えないのも納得です。

 そういえば新橋演舞場という歌舞伎なども行われる歴史ある劇場に、AKB出身の女優さんが立つのも初めてでしょう。今後も、前田敦子や大島優子とも違う独自の路線で、確かな成功を収めていくと、確信できる演技でした。