雪組新トップスター、望海風斗(のぞみ・ふうと)の“プレお披露目”となる全国ツアー「琥珀色の雨にぬれて」「“D”ramatic S!」が25日、大阪・梅田芸術劇場で、初日を迎え、望海は、新生雪組の新テーマを「希望」と発表した。

 右手を前に出しグルリと大きく2度回し「希望!」。相手娘役の真彩希帆(まあや・きほ)との新トップコンビの名前から命名した新テーマと、ポーズを初披露。望海、真彩ら組メンバーも客席も、会場が一体となって、新ポーズに臨み、新生雪組の船出を祝った。

 雪組は、本拠地の動員記録を更新した前トップコンビ、早霧(さぎり)せいなと咲妃(さきひ)みゆが中心となり、雪組テーマ「絆」を生み出し、ファンから愛されてきた。

 宝塚では、組ごとにテーマがあるわけではなく、「絆」は、前コンビの熱さから生まれた偶然の産物だった。しかし、早霧からトップのバトンを受けた望海は、新生雪組でもテーマ設定を継承。その初日に「絆は早霧さんの大切な宝物として、心の中にしまっておいて、これからは…希望…でいきましょうか」とあいさつし、新テーマを明確に定めた。

 トップ初主演作の芝居は、望海にとって、花組の先輩、高汐巴(たかしお・ともえ)主演で84年に初演された名作「琥珀色の雨にぬれて」で、1920年代のパリを舞台に、男女の恋愛心理劇を描いたアダルトな作品。得意の歌、ダンディーなたたずまいと、望海は持ち味を存分に発揮し、センターを務めた。

 ショーは、早霧・咲妃コンビのサヨナラ作をアレンジした「“D”ramatic S!」。ショーのテーマも、「望海」「希帆」の名前からとった「希望」で、その場面が新設。「キラキラと希望が見える」「みんなでもっともっと高く、遠く、羽ばたこう」との歌詞に新たな旅立ちへのメッセージが込められた。

 無事に初日を終えると、望海は、トップの特権でもある大羽根を初めて背負い、感涙。今公演の取材時には、羽根への感想は「当日、感じたことをしゃべりたい」と封印していた。

 この日、実際に羽根を背負って客前に立つと「大羽根を背負って、ここに立たせていただき、感想を述べたいと思います」と口にしたが、その後は、目に涙を浮かべ、天を仰いだ。

 「あの…出てきた瞬間から…」と言葉を詰まらせた後に「こんな感じです。本当に幸せです」と言い、ファンに感謝した。

 また、その望海の相手役を務める新トップ娘役、真彩は「なんだか夢のようで…はい…。望海さんの隣に立たせてもらえる自覚と、幸せをかみしめて、精いっぱい頑張って、ついていきます」と話していた。

 ツアーは、27日まで同所の梅田芸術劇場で、宮城、神奈川、千葉などを回り、9月18日の愛知芸術劇場まで、全13会場35公演が予定されている。