「ひふみん」こと将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が13日、都内で、公開中の映画「ダンケルク」(クリストファー・ノーラン監督)の大ヒット記念イベントに出席し、世界史マニアぶりを明かした。

 第2次対戦中、フランスの港町ダンケルクに追い詰められた40万人の英仏連合軍兵士による脱出劇を、事実をもとに描いた。加藤九段は、「若いころにウィンストン・チャーチル(元英首相)の第2次大戦回顧録を読んで、それに書かれていた。縁を感じます。しかも、私が生まれたのがダンケルクの出来事があった年」と博識ぶりを披露した。今回のイベント出演についても「私は楽観的な人間なので、ピッタリな話が来たと思った」と喜んでいた。かつて回顧録を読んだのが、対局の前日だったといい、「それを読んでテンションを上げた覚えがあります」と振り返っていた。

 司会から「ダンケルクの作戦を(具体的な)将棋の駒にたとえると」と問われても、加藤九段の口からは深い歴史知識と、長い棋士生活で培った精神論ばかりが飛び出した。ともに登壇した高樹千佳子キャスター(38)も苦笑いする中、司会から同じ質問を3度され、加藤九段はようやく「彼らは命がけの勝負だった。兵士たちの方が分かってるはずです。私たち(棋士)も真剣勝負ですけど、命はかかってませんから」とぶっちゃけ、笑わせた。

 9日に公開され、週末だけで興行成績3・2億円を記録し、22万人を動員した。日ごろはキャスターと主婦の二足のわらじに奮闘する高樹は「ダンケルクの過酷さに比べたら、仕事とか家事とか育児の大変さなんて大したことはないと思える。だから、疲れているお母さんにこそ見てほしい」とPRしていた。