桂米朝一門の出身で、11年から東京に拠点を移している上方落語家、桂雀々(57)が19日、大阪市内で、芸歴40周年記念独演会「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)2018 大阪公演」(来年1月28日、大阪・新歌舞伎座)を発表。今年6月の東京公演での桑田佳祐(61)に続き、大阪公演でも大物歌手ゲストを呼ぶと宣言した。

 「当日まで言いません! というか、言うなと言われてます。もちろん、えっ? なんでこの人と? どういう関係? っていう人を呼びます。すでに個人間で話はつけてます」

 「地獄八景-」は、大師匠にあたる故桂米朝さんが掘り起こし、現在の形式にまとけあげた上方を代表する大作。雀々の師匠、故桂枝雀さんも持ちネタとし、米朝一門で継承されてきており、随時、時事ネタを投入することで、鮮度が失われることはない。

 6月の東京公演では、ネタの中で雀々が「飛び入りはないのか」と呼び掛け、“亡者姿”の桑田が登場し、会場はわき上がった。

 雀々は今回、大物ゲストに加え、本来、芝居公演を打つ劇場での公演だけに「セリや回転も使って、演出にしたい。スーパー歌舞伎ならぬ、スーパー落語にするつもり」と言い、ゲストの“投入どころ”も思案を重ねている。

 「時事ネタも、亡くなられた方も旬を入れるので、直前まで練っていく。6月のときも、ちょうど森友学園、加計の話があったので『もりそば、かけそば』と入れたり、大好きなお金も『一番上と一番下だけ1万円札』とやったら、もう、ほんま、どっかん、どっかん笑ってくれた」

 来年1月の本番直前まで、ネタを繰ることになる。ただし、上方落語界では、四天王全員が鬼籍に入っており、米朝一門定番だった「あの世での米朝独演会、近日開演」ネタはもう使えない。

 これについて、雀々は「四天王があっちの世界で、そろってしまったので、もちろん、四天王は出します。米朝師匠に代わるのは、今は、申し訳ないですけど、(桂)歌丸師匠ですね」と話した。

 雀々は10年に全国の地獄や閻魔(えんま)にゆかりある土地で「地獄八景-」を演じるツアーを実施。「自分の体の一部になった」と実感する。

 もともと、米朝さんからは「地獄-は、初めての独演会、周年公演、襲名とか、吉所、吉所でやるもん」と教えられており、現在は、雀々も原点に戻る。「次(に地獄八景-を)やるのは還暦か、芸歴50年ですかね」と言い、全身全霊をかけて、地元・大阪での“凱旋(がいせん)・地獄八景”へ向かう。