嵐・松本潤(34)が7日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた主演映画「ナラタージュ」(行定勲監督)初日舞台あいさつに登壇し「忘れられない作品になった」と思いを吐露した。

 松本は劇中で、高校の社会科教師・葉山貴司を演じた。有村架純(24)演じる卒業した教え子・工藤泉と再会し、愛され、心引かれるものの、別れた妻の話を切り出し、思いをかわすなど、心の奥を明かさない男を好演した。

 4年ぶりの主演映画で、複雑な心情の役どころを演じ「今まで自分が表現してきた表現方法とは、違う表現の仕方を勉強させていただいた。今後、役だけじゃなく何かを表現する時に、こういうやり方もあるのだと広げてもらった作品になりました」と自身の表現者としての引き出しが広がったことを強調「感謝しています。ありがとうございます」と行定勲監督(49)に感謝した。

 映画のキャッチフレーズ「壊れるくらい、あなたが好きでした。」にちなみ「壊れるくらい好きな人、ものは?」と司会から質問が出た。松本は1回目の試写を見終わった際、感じた心境を語った。

 松本 忘れられないくらい強烈な印象、人…。僕は、自分の恋愛の感覚じゃなくて、自分が今まで生きてきたものを振り返るような時間だったんですよ。もう会えない人のことを、すごく考えた。それは(亡くなった)中村勘三郎さんとか、蜷川幸雄さんとか、自分の家族も含めて…自分が人の人生の中で、どれだけ記憶に残ることが出来るか、何かを与えられるかということを、エンドロールで曲を聴いている時に、すごく考えさせられた。

 この日は鏡割りが行われたが、雨がよく降る作品にちなみ、雨水が入った樽を鏡割りした。松本は鏡割りの直前に「こんなに(中の液体が)かかりたくないのは、なかなかない」と苦笑したが、割った後「(雨水は)本当に入っています。すごい透き通ってますね。きれいな雨水ですね」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 行定監督は「12年前に原作を知って、映画化したくて、僕の手に渡って10年…もん絶していたんですよ。有村さんはデビューしていない。松本さんは若かった。このキャスティングにめぐり会うために10年かかった。映画は作るべき時に作られるものだと分かった。隅から隅までキャストに恵まれ…あいまいな愛の話ですが豊かになった」とキャストとの出会いに感謝した。

 この日は坂口健太郎(26)、大西礼芳(27)、古舘佑太郎(27)も登壇した。【村上幸将】