市川猿之助(41)が9日午後3時すぎ、東京・新橋演舞場で、主演するスーパー歌舞伎セカンド「ワンピース」(11月25日まで)のカーテンコール途中、左腕を開放骨折する重傷を負った。花道のセリに乗って降下中、衣装が巻き込まれたという。今日10日以降は、猿之助が演じていたルフィを尾上右近が演じることをこの日夜、松竹が発表した。復帰時期は未定。

 猿之助は「骨折してしまいました。でも心配しないでください、僕はゴムゴムの実の能力者のルフィです! 僕は元気です! 僕のいない穴は若手たちがしっかり埋めてくれます。安心して劇場へお越しください。僕もなるべく早く復帰し、麦わらの一味として活躍できるよう、まずは治療に専念します!」と、役にからめてコメントを発表した。

 猿之助はカーテンコールで、花道にあるセリに乗って再び姿を見せる予定だったが、猿之助の登場がないままカーテンコールは終了した。警視庁は、事故の詳しい状況、安全対策が十分だったのかどうかなどについて調べている。

 「ワンピース」は人気コミックが原作で、15年に同劇場で初演され、全国で約20万人を動員した。再演の同公演は、今月6日に初日を迎えたばかりだった。

 猿之助は初演に続いて主人公ルフィを演じており、制作発表会見では「死ぬ時、当たり役に『ルフィ』とあったらいい。一生の宝物だと思う」と話すほど役にはまっていた。右近は、通常公演のほかに若手を抜てきして行う公演「麦わらの挑戦」でルフィを演じている。

 ◆開放骨折 皮膚が破れて骨が外に飛び出している状態の骨折。交通事故や高所からの落下など、激しい力が加わった場合に起こる。皮膚の破れたところから細菌に感染する場合あり、治癒までに時間がかかる。出血が多量であることも特徴。

 ◆尾上右近(おのえ・うこん)1992年(平4)5月28日、東京生まれ。曽祖父は6代目尾上菊五郎、母方の祖父は昭和のスター俳優鶴田浩二、父は江戸浄瑠璃清元節家元の清元延寿太夫。00年、歌舞伎座「舞鶴雪月花」で初舞台、05年に現在の名前を襲名した。女形も立役も演じる期待の若手。自主公演「研の會」は今年で3回目を迎え、研さんを積んでいる。清元の修業も続けており、来年2月に清元栄寿太夫を襲名。血液型O。