「天才子役」とはよく聞くけれど、演技だけでなく、立ち居振る舞いも理知的な、ある子役の存在に衝撃を受けた。東京国際映画祭の併設イベントで、映画「泥棒役者」(11月18日公開、西田征史監督)のPRを兼ねたプレミアムフライデーの推進イベントに出席した、新津ちせだ。

 関ジャニ∞丸山隆平(33)が主演を務める作品で、新津は物語のキーポイントとなる絵本「タマとミキ」に登場する少女の声を担当している。オレンジ色の衣装で登場した新津は「衣装の色は、関ジャニ∞の丸山さんのイメージカラーにしました」としっかり説明。丸山が「結婚しよう!」と反応したのはもちろんジョークだろうが、心を撃ち抜かれたのは間違いないだろう。

 絵本にネコが登場することもあって、なってみたい動物を聞かれた新津は「キリンさんになってみたいです。六本木ヒルズみたいに高いところから、いろんなものを見渡してみたいです」と答えた。小学生くらいの小さな子供と話す場合、「質問」に対する「答え」がストレートに返ってこなかったり、答えも一言で終わることも多いが、新津は「答え」に加えて「理由」、さらにイベント会場の名前まで付け加えて話した。イベントには台本もあったかもしれないが、もはや普通の7歳児の受け答えではなかった。

 新津は現在7歳ながら、4歳で初舞台を踏み、映画は既に今作が7本目というキャリアの持ち主だ。父は今や知らない人はいない、昨年大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」を手がけた新海誠監督。同監督には何度か取材をしたことはあったが、話は映画や監督自身のことに終始してしまい、新津のことや子育てについて話したことはなかった。いつかまた話せる機会があったら、教育方針についても聞いてみたい…と思うと同時に、自分が7歳の時はどんな子だったかなと振り返ってみた。何一つ、思い出せない。どうやら、都合の悪いことは忘れる大人に育ってしまったようだ。猛省。