「ひふみん」こと、将棋の加藤一二三(かとう・ひふみ)九段(77)が女子大生を夢中にさせた。29日午前、仙台市泉区の仙台白百合女子大講堂でトークショーを行った。今年6月、63年に及ぶ現役生活を終えるのとほぼ同時に、同大客員教授に就任。開催中の学園祭に招かれる形で、初めて登壇した。一般にも開放され、約500人で満員の聴衆の前に登場すると、「かわいい」と女性の黄色い声。関係者によると、こんなことは初めてという。

 テーマは「私の学生時代」。高校時代に生徒会長を務め、図書室で1人で本を読むのが好きだったこと、大学時代は西洋文学に夢中になったことを話した。

 自身はキリスト教徒。舞台がカトリック系大学でもあり、「女性がしっかりしていれば、社会も家庭もうまく回る」という聖書の教えを披露。信者の中では「奇跡が起きる地」で有名なフランスのルルドという街を訪れ、神様から将棋のタイトル獲得というお恵みをいただいた話や、「どんな時も打開策はある」などの経験談で引き込んだ。

 棋士時代の厳しい勝負の世界にも触れ、予定持ち時間の30分を15分もオーバー。客員教授の初仕事を終え、「(今後も)将棋だけでなく、クラシック音楽や美術など、いろいろな文化についてお話ししたい」と意気込んだ。

 観覧した女性の1人はテレビ局の取材に「すごくかわいくて面白くて、朝から並んだかいがありました」と語った。ツイッターには「生ひふみんに会えて感激です。テレビで見るより100倍すてき」などの書き込みもあった。

 ◆仙台白百合女子大学 1893年(明26)設立の仙台女学校が前身。東北で唯一の4年制カトリック系大学。1966年(昭41)、仙台白百合短大として発足。96年に短大(02年廃止)と併設される形で大学開学。現在、人間学部の中に人間発達学科、心理福祉学科、健康栄養学科、グローバル・スタディーズ学科がある。学生数は約1000人。東京都調布市の白百合女子大のほか、北海道函館市、岩手県盛岡市などに系列・姉妹校がある。