落語家桂文枝(74)が1日、大阪・オリックス劇場で、芸能生活50周年を締めくくる公演「ファイナルステージ~またここから始まる~」を開催。83年に文化庁芸術祭大賞を受賞した代表作「ゴルフ夜明け前」を、大型スクリーンを駆使した新バージョンとして披露した。

 66年12月1日に先代の5代目桂文枝さん(故人)に入門。左右白いカーテンの大階段を下り、特設された高座へ座った。

 「目新しいことやろうと思ったけど、待ってる間、真っ暗で怖くて、後悔した」と苦笑しながら、創作278本目に数えた「新・ゴルフ夜明け前」を演じた。

 50周年イヤーの今年は7月に富士山頂で奉納落語。挑戦を続け、節目1年のファイナルを迎えた。

 落語はゲストに三遊亭円楽(67)を招き、2部は関根勤(64)とトーク。3部の歌謡ショーは、盟友さだまさし(65)と、大学時代からあこがれた加山雄三(80)をゲストに招いた。

 文枝は、さだを「ネタの参考にするぐらい、しゃべりが達者」と言い、絶妙の掛け合いトークでわかせた。記念公演のトリは加山との共演だった。加山の「君といつまでも」では、文枝がセリフを担当するなどしたが、合間のトークが止まらず、予定より1時間近くオーバーした。

 文枝が加山の若さの理由に「食欲」をあげ「すし200貫食べたらしい」と言えば、加山は真顔で「50貫だよっ」。絶好のタイミングで加山が切り返し、文枝は思わず「新婚さんいらっしゃい!」ばりに、ずっこけて笑わせた。

 文枝は加山とウクレレでも共演し、最後は「一番好きな歌」だという「旅人よ」でデュエット。挑戦を続ける文枝自身の信条にも重なった楽曲で、加山も「僕も(作詞家の)岩谷(時子)さんの作品の中で、一番好きな詞だね」と言い、歌い始めたが、文枝が感涙して歌えず。加山に肩を抱えられ、涙が止まらなかった。