竹内涼真(24)が石原裕次郎新人賞を獲得した。第30回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が4日、決定した。強烈なキャラクターがそろった「帝一の國」で明るい好青年をさわやかに演じた。石原裕次郎賞は北野武監督(70)の「アウトレイジ 最終章」が受賞。授賞式は28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、裕次郎夫人の石原まき子さんから竹内には賞金100万円、「アウトレイジ 最終章」には300万円が贈られる。

 大スターの名を冠した賞に竹内は「受賞された方の名前を見ていると、今、活躍している素晴らしい方ばかり。自分の名前が載るのはすごく光栄だと思います」。映画で賞を贈られるのは初めて。「この仕事は何をしたら達成とか、あまりないじゃないですか。僕は、自分で『これはできたな』と満足するより、やったものを見てもらい、評価してもらえた声がうれしいので」と喜んだ。

 「帝一の國」の中で異彩を放った。文武両道、周囲にも愛され、さわやかで明るく、主人公にライバル視されても大きい心で受け止める好青年役。主演の菅田将暉(24)を始め野村周平(24)ら同年代が演じたキャラクターはいずれも、漫画から飛び出したように強烈で個性的だった。そのギャップが結果的に竹内の魅力を引き立たせた。「普通にしすぎると薄くなりすぎるので、キャラと普通の中間を探りました。今活躍している同世代の俳優たちと一緒にやれて、評価していただいたっていうのは、うれしいです」。

 高校時代、東京ヴェルディユースでサッカーに打ち込んだ。Jリーガーになった同期らに刺激され、大学時代に異世界に飛び込む決意をした。「彼らがいたから、やりたいことが20歳で見つかったと思います。そういう仲間が近くにいると自分の状況が不安になったりする。大学に通う何年間かで進路を決めなきゃと思っていたので」。

 デビューから4年。飛ぶ鳥を落とす勢いが続いている。今年上半期はNHK連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロインの恋の相手となる大学生、島谷を演じた。王子様のような青年で、作品途中に姿を消すと、視聴者から再登場を願う声が届く「島谷ロス」が起きた。夏は日本テレビ系ドラマ「過保護のカホコ」でヒロインの相手役を務め、現在は役所広司(61)主演のTBS系ドラマ「陸王」で、かつての箱根駅伝のスターで、今は故障に苦しむ実業団ランナーを熱演中だ。ヒット作に竹内あり、という状況だが「20歳までサッカーをやっていたので焦りもあります。全部捨てて一から始めてるから、ゆっくりコツコツよりは行くなら、早く行きたい」という。

 ユースチーム時代の同期とは今も仲良しで「年末は必ず集まる。一番分かり合える仲間です」。進んだ道は違えど刺激し合っている。今年の“同窓会”は最高の報告ができる。【杉山理紗】

 ◆竹内涼真(たけうち・りょうま)1993年(平5)4月26日、東京都生まれ。13年「minaカレオーディション」でグランプリを受賞し、芸能界入り。同年ドラマ「車家の人々」で俳優デビュー。14年「仮面ライダードライブ」に主演、同年同シリーズで映画デビュー。17年「今年のヒット人」にも選ばれた。185センチ、血液型A。

 ◆帝一の國 名門海帝高校の生徒会長を務めたものは、将来の内閣入りが確約されている。野心家の赤場帝一(菅田将暉)は、生徒会長になるため、あらゆる手を尽くして生徒会長選を戦う。永井聡監督。

 ◆石原裕次郎新人賞 裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな映画デビュー5年以内の新人が対象。賞金100万円。選出ハードルは高く、該当者なしの年も多い。

 ◆石原裕次郎新人賞・選考経過 昨年の選考会でも高く評価されていた竹内涼真が圧勝した。「会ったときすごく紳士的だった。演技もさわやかさに遊び心があふれている」(伊藤さとり氏)など、裕次郎さんと重なる人柄も評価された。1回目の投票で過半数。