女優吉永小百合(72)が4日、東京国際フォーラムで行われた120本目の映画「北の桜守」(滝田洋二郎監督、3月10日公開)完成披露試写会で、劇中歌「花、闌(たけなわ)の時」を、共演の岸部一徳(70)、作詞作曲の小椋佳(73)とともに生で披露した。

 吉永が公の場で歌うのは、2012年10月3日に同所で行われた映画「北のカナリアたち」(阪本順治監督)完成披露試写会以来、5年3カ月ぶり。岸部の公の場での歌唱は、2013年12月27日に東京ドームで行われた、タイガースの復活コンサート以来、約4年ぶり。

 歌唱の前には小椋が登壇し、楽曲の制作経緯を語った。小椋は、吉永と高倉健さんが初共演した1980年(昭55)の映画「動乱」の主題歌「流れるなら」を作詞した縁がある。「主題歌を作るというお話をいただき、光栄。同時に人は生まれつき、不公平だなという気がします。吉永さんも、結構いい年になるんですよね。僕と確か1つ違いですが、僕はぶざまに老衰していますが、吉永さんは全然、変わらない。側に立たせていただくと、ソワソワするほど美しいまま。女性の年齢は言っちゃいけないそうですから申しませんが、僕は74歳で1つ違いです」と強調した。

 すると、吉永は「まだ72なんですけど…すみません」と自ら訂正して苦笑した。これには、小椋も「すみません! 失礼いたしました。その1年は、大きいかも知れません」と笑った。吉永も「大きいですか?」と言い、笑みを浮かべた。

 吉永は1度、降壇し、先に小椋が堀内孝雄の息子Horiuchiらと1番を歌った後、舞台下手から歌いながら歩いて再登場。上手から歌いながら歩いてきた岸部と、舞台中央の小椋の元に歩み寄ると、楽曲の2番から歌った。大きな桜の木を前に披露した美しく、みずみずしい歌声は、橋幸夫とデュエットした名曲「いつでも夢を」の大ヒット当時をほうふつとさせた。そして吉永らが歌う中、劇中で息子を演じた堺雅人(44)、堺演じる息子の妻を演じた篠原涼子(44)も登壇し、華やかな雰囲気のまま歌唱と舞台あいさつは終わった。

 吉永は、完成披露試写会に先立って行われた会見の中で「映画の中でも(共演の)阿部寛さんと歌っていましたけど、その時はそんなに緊張しませんでした。今日はサリーさん(岸部)とご一緒ということで、こんな機会はめったにないということでドキドキします」と笑みを浮かべた。

 岸部も「お正月にいただいたCDを聴いて、覚えないといけない。歌詞がなかなか覚えにくいところがあって、ほとんど正月はそれに費やした。昔(タイガースで)音楽をやっていましたけど、コーラスが多かったので吉永さんと並んで歌えるなんて夢のよう」と感激していた

 また吉永は、120本目の映画「北の桜守」が、自身の映画女優のキャリアにおいて、どのような位置付けにあるかについて「こんなに楽しく(撮影を)終われたというのは、とてもうれしいことですし、大人になってからの、私の大事な作品になったと、今は思っています」と感慨深げに語った。【村上幸将】