昨年大みそかに放送された第68回NHK紅白歌合戦の歌手別視聴率が4日、分かった。関東地区の瞬間最高視聴率は特別枠で出演した安室奈美恵(40)が「Hero」を熱唱中の48・4%。前年の44・8%を3・6ポイント上回った。関西地区の最高も、同曲の時間帯に記録した49・7%だった。1部(午後7時15分)の瞬間最高視聴率は、ハーフタイムショーでブルゾンちえみ(27)がネタを披露している最中の39・2%だった。

 今年9月に引退する、安室の“サヨナラ紅白”が視聴率を押し上げた。安室がテレビ生放送で歌ったのは、10年7月30日のテレビ朝日系「ミュージックステーション」以来、2711日ぶり。紅白出場は03年以来14年ぶりだった。

 過去から現在、そして未来をイメージした真っ白なセットで、安室が16年リオ五輪・パラリンピックのテーマソング「Hero」を歌い始めると40%前後だった視聴率が一気にはね上がり、曲中盤の午後11時18分に48・4%を記録。歌唱後、涙を浮かべたシーンも高い数字をキープした。

 安室に続いて特別枠出場の桑田佳祐(61)も、横浜アリーナからの生中継で、昨年度のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」の主題歌「若い広場」を熱唱。同局有働由美子アナ(48)と肩を組んで歌って盛り上げ、午後11時27分に44・6%を記録した。

 特別枠出場の2人に続いて登場した紅白のトリも、それぞれの組の最高視聴率をマーク。紅組トリで出場40回目の石川さゆり(59)は、10回目の歌唱となる「津軽海峡・冬景色」を熱唱。葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の映像を背景に歌いきった午後11時33分には45・3%だった。

 大トリのゆずは「栄光の架橋」。20年東京五輪・パラリンピックへ向けて、北川悠仁(40)が「皆さんの夢を少しでも後押しできれば」と宣言。特別ゲストとして出場した昨年9月に100メートルで日本人史上初の9秒台、9秒98をマークしたリオ五輪400メートルリレー銀メダリスト桐生祥秀(22)も「9秒台を出す前に聞きました」と後押し。曲のエンディングの午後11時39分には、安室以外で最高となる46・4%。白組優勝が決まった同42分には47・0%まではね上がった。

 「夢を歌おう」をテーマにした今回の紅白歌合戦。平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)では2部で前年を0・8ポイント下回り、89年に2部制になって以来ワースト3位の39・4%。それでも安室が出番だった瞬間最高視聴率は、前年よりアップした。視聴者のニーズに応える出場者の人選の重要さを印象づけた。