静岡県の人気タレント久保ひとみ(48)が、女優デビューしていた。2月3日上映開始の映画「たまゆら」で、報道リポーター役を演じている。フジ虎ノ門グループ代表(御殿場市)で医師の土田ひろかず氏(68)が、原案、脚本、監督を務めた作品で、キャスト陣の目玉として起用された。今日11日午後7時には、静岡東宝会館(静岡市)で開催の試写会に登壇。これに先駆け、コラム「まるごと久保ちゃん」の拡大版で、土田監督との対談を実施した。

 久保ちゃん 「たまゆら」は、土田さんの初監督作品ですね。原案、脚本も手掛けられていますが、製作のきっかけは。

 土田監督 実は、浪人生の頃から映画製作の夢を抱いていました。医師としてキャリアを積んできましたが、夢を諦めきれず、60歳を前にして、映画専門学校に通いました。その後、選挙に出て参院議員を務めるなどし、一昨年の2月にクランクインできました。

 久保ちゃん どういう映画なんでしょう。

 土田監督 えっ、出ているんだから知っているでしょうに。

 久保ちゃん 知っていますけど(笑い)。監督からお知らせください。

 土田監督 では、説明します。ある病院で繰り広げられる医療制度の矛盾と葛藤を描いています。医療の世界に飛び込んだ元キャビンアテンダント(CA)の視点で、医療や医師の在り方を見つめていきます。それ加え、恋愛や笑いの要素も入れています。

 久保ちゃん 初めての映画製作で、ご苦労もあったのでは。

 土田監督 クランクインの2週間前まで、キャストが1人も決まらなかったんです。何の実績もない監督ですから(笑い)。それでも、製作会社の尽力で集まり始め、4日前に駿河太郎さんが「脚本が面白い」と言って、受けてくれました。鶴瓶さんの息子さんで知られていますが、ドラマ「半沢直樹」などで見せた存在感ある演技力で、作品がグッと締まりましたね。

 久保ちゃん なるほど。駿河さんと同じく、先生の書かれた脚本は、私の心にも響きましたよ。

 土田監督 うまいね~。でも、久保ちゃんは、静岡で知らない人はいない有名人。快く受けてくれて、助かりました。

 久保ちゃん もう、いつ来るかと思って、待ってましたよ。オファーが遅いな~って(笑い)。ただ、現場にテレビの感覚で行ったら、人数がすごく多くて、ビビリました。監督さんだけじゃなく、助監督さん、カメラのアシスタントさん、エキストラさんも、たくさんいらっしゃって。

 土田監督 でも、久保ちゃんはプロだね。病院の前で事件を伝える報道リポーターの役だったけど、ちゃんと、NGなしでやりきったんだから。

 久保ちゃん 読み込んできましたから(笑い)。ただ、少し化粧が薄かったですかね~。それに、すごく緊張してしまって…。

 土田監督 別に「脱げ」と言ってないでしょうに。

 久保ちゃん その方が緊張しないかも…ハハハ。

 土田監督 えっ。

 久保ちゃん いやいや、リポートの時、原稿を見過ぎて、下を向いてしまったんです。もっと、顔をアピールしたかった(笑い)。

 土田監督 では、次の作品で頑張ってください。実は「たまゆら」を含めて、医療現場が抱える問題を伝える映画三部作を計画しています。今、第2弾の脚本が完成しつつあります。「たまゆら」もそうですが、実際の事件をモチーフにしています。年内には撮影に入る予定です。

 久保ちゃん やった~。また、出演できるんですね。今度はセクシーな役で。

 土田監督 ……。け、検討します(汗)。【取材・構成=柳田通斉】

 ◆映画「たまゆら」 元CAの高杉和代(久保陽香)が、病院の医療秘書に転身。医師確保が急務の病院で、院長の峰山昇太郎(駿河太郎)と奔走する。そんな中、和代は以前にケガの応急処置をしてくれた医師の白鳥良太(岡部尚)に声を掛ける。実直で患者に慕われる白鳥にひかれる和代。だが、白鳥には秘密が…。物語は、問題を抱える日本の医療制度の下、実際に起きた事件をモチーフにしている。「たまゆら」は「かすか」を意味する古語。2月3日~9日、清水町のサントムーンで、2月24日~3月9日、東京・渋谷のユーロスペースで上映。

 ◆土田ひろかず 1949年(昭24)10月31日、石川県生まれ。小5で静岡県須走村(56年に小山町と合併)に転居。沼津東、関西医科大を卒業後、東京・虎の門病院に勤務。33歳で御殿場市にフジ虎ノ門整形外科を開業。08年4月~09年3月、イメージフォーラム映像研究所(東京)で映画作りを勉強。09年10月、参院選静岡県補選に立候補して当選。久保ちゃんとは、12年4月~13年4月に放送のK-mix「人生各駅停車」で共演。「病院につける薬」「オムツが取れない日本の医療」「なるほど!選挙に出てわかった野党が勝てない理由」など著書多数。