歌舞伎俳優中村雀右衛門(62)が13日、都内で、「三月大歌舞伎」(3月3~27日、東京・歌舞伎座)で出演する「男女(めおと)道成寺」への思いを語った。

 父の4代目中村雀右衛門七回忌追善狂言として上演される同演目について「女形の舞踊の集大成。体を使い切らないと踊れない」と話すうち、開催中の平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)の話題に。雀右衛門は「スポーツと舞台には、1回勝負で体を使い切るという共通項がある。フィギュアスケートのように、全体の美しさが必要なところも舞踊に似ている」と話した。

 前日夜のメダルラッシュについては「自分が見ていて失敗したらどうしようとドキドキするので、いつも結果が出てから見るんです」と、生中継を見られない弱点を告白。「風が強いとか、イレギュラーだと特にドキドキする」と、ジャンプの高梨沙羅を心配していたという。

 雀右衛門を襲名して2年。「父に近づくのはずいぶんと遠いですが、少しずつ重ねて、なぞっていくうちに近づくのかもしれません」と謙虚に語る。

 4代目雀右衛門さんが得意にしていた道成寺ものについては「色っぽくて、柔軟な体の使い方が父の特徴。上の方から、少しは成長したのかなと思ってもらえるのが一番の追善。父の面影を思い出してもらえるように、つとめたいと思います」と、天国の父に誓った。