津川雅彦さんが今秋に開催される京都国際映画祭で日本映画の発展に貢献した制作関係者に贈られる「牧野省三賞」への「遺言」を残していたことが8日、分かった。同映画祭の名誉実行委員長を務める中島貞夫監督(84)が明かした。

 同賞は「日本映画の父」と呼ばれ、津川さんの祖父牧野省三氏の功績をしのび設けられ、14年から京都国際映画祭の中で、発表している。津川さんは選考委員を務め、プレゼンターとして登壇してきた。中島監督によると、今年の受賞者はすでに決まっている。選考委員で何度か話し合い、最後は津川さんが推薦した人で意見がまとまった。

 5月、体調が良くなかった津川さんは「この方の実績を評価したい」と強く主張したという。芸能界の名門牧野家に生まれ、俳優だけではなく、「マキノ雅彦」の監督名でメガホンをとった。映画人としての最後の選考に中島監督は「映画に対する広い視野を持っていた」と話した。