俳優妻夫木聡(37)と女優井上真央(31)が、今秋にテレビ朝日系で放送されるメ~テレ開局55周年ドラマ「乱反射」(放送時間未定)で初共演を果たすことが9日、分かった。

 原作は「第63回日本推理作家協会賞」を受賞した、貫井徳郎氏の同名ミステリー小説。社会問題を多く扱い、丁寧な心理描写で知られる同氏の代表作だ。監督は14年に映画「舟を編む」で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した石井裕也氏(35)。妻夫木と井上も同最優秀主演男優賞と最優秀主演女優賞の受賞者とあり、本格派の布陣となった。

 妻夫木は、わが子を亡くした事故の原因を追究する新聞記者の加山聡を、井上は妻の光恵を演じる。息子の死の責任を誰も認めず、夫婦は法で裁くことが出来ない怒りと、子を失った悲しみで追い詰められる。罪の所在はどこにあるのか、重厚感のある社会派作品に仕上がった。

 妻夫木は、貫井氏原作で17年に公開された映画「愚行録」に出演。同氏の作品を「答えがないところを提示することが得意な方」とし、台本について「うまくまとまっていました。それぞれの無神経さや人間自体の感情が交錯する部分が、特に印象的に描かれていると思いました」と話す。井上は「石井監督と妻夫木さんというおふたりの存在が勇気となり、この作品に飛び込むことが出来たように思います」と語った。

 初共演だったが、息のあった撮影をこなしたという。妻夫木は「初めての感覚がないような感じで、すごく楽しかったし、気持ち良かったです」。井上も「とても居心地がよく、さまざまな感情を、妻として共有させてもらえた日々でした」と応じた。妻夫木は「一緒に苦しみながらも、『人間とは何なのか』ということを考えていただけるような作品になっていると思います」と自信を示した。