先月2日に慢性閉塞(へいそく)性肺疾患で亡くなった落語家桂歌丸さん(享年81)をしのぶ10日間の興行が11日、東京・国立演芸場で初日を迎えた。

 毎年、同演芸場での8月中席は、歌丸さんがトリを務める恒例の興行だった。今年は「桂歌丸追悼 8月中席」と銘打って行われる。

 この日トリを務めた春風亭昇太(58)はまくらで、歌丸さんが亡くなったことについて行った会見を振り返り「頭の中は悲しいんですけど、並ぶとおもしろいことを言いたくなる」と、思わず出てしまった落語家の習性を明かした。

 「じめじめするより、笑ってもらう方がいい。僕だって、亡くなったら、黒白の幕じゃなく、紅白の幕を使ってほしい。『おめでとう!』みたいな感じで。どうせ1人で死んでいくんだから…」と独身キャラを見せると、観客も大笑いだった。

 終演後、取材に応じた昇太は「この後、桂歌丸という人がいないということが、ボディーブローのように効いてくるんだと思います。同じことはできないけど、ちゃんとやんなきゃという責任を感じています」と、しんみり語った。

 20日までの興行は完売しており、昇太、桂米助、三遊亭小遊三、桂歌春が日替わりでトリを務める。