作家の乙武洋匡氏(42)が、政界進出を考えていた当時や、今後の活動についての思いを明かした。

 乙武氏は16日深夜放送のテレビ東京系「じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~」に出演。98年に出版し累計600万部のベストセラーとなった著書「五体不満足」で一躍時の人となり、政界からも誘いを受けるようになったという。「元々、本を出した理由もそうですし、そこから20年メディアに出続けさせていただいたのもそうですけど、障害者だけじゃなくてLGBTの方々だったりとか、いろんなマイノリティーの方々が自分の選んだ境遇でもないのに自由が制限されたり、与えられるチャンスが少ないのはやっぱりおかしいなと。どんな境遇に生まれても同じだけのチャンスが与えられる社会にしたいなって思いがあって」と政界を目指した思いを語った。

 しかし16年に5人の女性との不倫を週刊誌に報じられ、世間から大バッシングを浴びることに。「僕が『五体不満足』で登場してくるまで障害者は『かわいそうな人』だったし、『守ってあげなくきゃいけない弱者』っていうあつかいだった。ここまでフルスイングで全国からボコボコにやられた障害者って多分初めて」と苦笑。「僕自身がたたかれるのはまあしゃあないなっていう部分はあったんですけど、周りに迷惑をかけてしまうのがしんどかった」と、実家にまでマスコミが押し寄せた当時を振り返った。

 SNS等での発言で物議をかもすことが多い乙武氏だが、「僕自身はあんまり人に好かれたいとか、嫌われたくないとかっていうのはそんなに気にしていない」という。「唯一、ロールモデルにさせて頂いてるのが野茂(英雄)さん。野茂さんってほとんど日本人がメジャーリーグ行ったことない中で『俺、行くんだ』っていって、あれだけバッシング受けて、たたかれて、悪者になりながらそれでも道を拓いてくださったおかげでイチローさんや松井(秀喜)さんが行けるようになった。どんなにたたかれても海を渡ったっていう先駆者としての役割っていうのが本当に素晴らしかったと思う。いろんなことをやっておいて、後世の人が『昔、乙武っていう人がそれやったから、アンタも頑張ればできるかもね』って言ってもらえるようにいろんな山に旗立てておきたい」との思いを語った。

 あらためて政界進出の意思を聞かれると「いやぁ、誰も僕に期待してないでしょ」と自虐。今後の活動については「自分の場合、政治家になりたいっていうこだわりがあったわけじゃなくて、どんな境遇の人でもいろんなチャンスが与えられる社会にしたいというっていうのが1番やりたいことなんで、立場を問わず、そういうことに何か貢献できたら」と語った。