映画「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」(31日公開、ヤヌス・メッツ監督)の公開直前トークイベントに登場した、スポーツキャスターの松岡修造(50)を取材した。この日は時間を誤ってかなり早めに取材現場に到着してしまったのだが、おかげで面白いものが見られた。

開演までの時間をどう過ごそうかと考えていると、ステージにラフなジャージー姿の松岡が現れた。壇上を眺めていると、イベントスタッフとなにやら打ち合わせを始めた。「今日は(日本テニス協会の)強化本部として来てるから、面白いこと言えないよ」と、本気とも冗談とも取れる話し声が聞こえる。こちらは情熱的に語る面白い松岡を期待しているのだが、テニスを題材とした映画だけに、ふざけられないという気持ちが本人にはあったのかもしれない。

しかし、後方にズラッと並んだカメラクルーを見つけると「こんなに来てるの!?」と、取材陣の多さに驚いた様子。スタッフに向き直り、映画のパネルを指しながら「今日は“氷の男”なのか“炎の男”なのか“熱い男”なのか、どの松岡修造がいいのか」と、さらに相談を始めている。手前に並んだスチルカメラマンたちが“熱い男”の部分でうなずくのを確認すると、少し考えた様子で舞台袖に下がっていった。

この日は、テニス部に所属する学生と一般客を招いてのトークイベントが行われた。開演30分前、観客が入り始めると松岡はまたステージに姿を現した。今度は壇上を降りて、学生に「テニスやってるの?」とフランクに話しかけ、あとからやってきた学生には「遅いぞ!」と遅れてもいないのに真顔で一喝した。会場に入るなり注目を浴びた学生はかわいそうだったが、開演前から盛り上がったことは言うまでもない。

ひとしきり観客と交流した後、スタッフに促されて控室に戻ったが、そこでもマイクを使って映画をPR。着替えのためにマイクを手放すまでみっちり話し続け、つい笑ってしまった。

結局、イベントには“熱い男”の松岡として登壇し、熱血トークを繰り広げた。胸元に「できる!」と印字されたコミカルなユニホームを着て登場したため、「面白い話はしない」というのはポーズだったのでは…と思わずにはいられなかったが、それでもサービス精神は疑いようもない。フォトセッションではラケットを持ち、ステージを右に左に本気の素振りを披露してくれた。記者のカメラではとても捉えきれなかったが、どこまでもサービス精神旺盛な人だと思った。