今年3月末でNHKを退局した有働由美子アナウンサー(49)が4日、東京・汐留の日本テレビで、10月からメインキャスターを務める同局の報道番組「news zero」(月~木曜午後11時、金曜午後11時30分)の会見に出席した。公の場に登場するのは、NHK退局以来初めて。番組については「視聴者とともに考える」と抱負を語り、自らを「置き屋のおかみ」と例え、若手の起用を強調した。

白いワンピース姿で登壇した有働アナは「ニュースはNHKでもやってきたけど、難しいニュースを分かりやすく伝えるを意識していました。news zeroでは視聴者のみなさんと一緒に考えて、人ごとにならないようにしたい」と意気込みを語った。

10年からNHK朝の情報番組「あさイチ」のキャスターを担当した。同番組では、自らが調べた良い情報を届けようとした。だが「視聴者のみなさんのほうがさらに上の情報を持っているので、聞く方がいい」ということを学んだ。ゼロのスタッフとは「専門家と同じように視聴者を信頼して、困ったら、自分でまあまあの答えを見つけるよりも聞くこと」で一致。「これまでと同じではダメ。せっかくやめてきたので、NHKの有働ではできなかったことをやっていきたい」と話した。

3月末のNHK退局後から半年間、東日本大震災の被災地や、イスラエル、南スーダンなどを訪れた。イスラエルでは、イスラエルの正義とパレスチナの正義に触れたという。「必ずしもニュース番組が報じた価値観が正しいとは限らないと思う。これからのニュースでは、何が正義なのかを迷いながらも逃げずに、視聴者にぶつけていきたい。バッシングを恐れずに発言していきたい」と決意を語った。

キャスターとしての指標については「迷いながらやる、でいいと思う」。その理由に、価値観の変化を挙げた。「とにかく視聴者のみなさんが考えずにふーんというニュースにならないように、人ごとでなく、自分の事として一緒に考えるようにしていきたい」とあくまでも「視聴者と一緒に考える」を強調した。

NHKの朝の顔から、日本テレビの夜の顔へ。新しい挑戦が始まる。【川田和博】