演歌歌手石原詢子(50)が5日、中野サンプラザホールで、デビュー30周年記念リサイタルを行った。

1988年(昭63)発売のデビュー曲「ホレました」や今年4月発売の「遥かな道」など23曲を約2時間半かけて披露した。

30周年の節目のイベントらしく、ステージでは「初もの」を用意した。

その1つが12年前から歌謡浪曲を学んでいる元歌手の浪曲師・二葉百合子さん(87)との初コラボレーションだ。「関東一本〆」をデュエットした。「二葉先生は師匠であると同時に母親のようで、いつも私の健康のことなどを優しく気に掛けてくれます」と感謝した。

もう1つが、ピアノの弾き語り。昨年10月からレッスンを始め、この日は初めて作詞を手がけた曲「逢いたい、今すぐあなたに…。」にチャレンジした。「子どもの時からピアノを弾きたかったので、一念発起をしました。『50の手習い』です」。これからもレッスンを積み重ねて、弾ける曲のレパートリーを増やしていくという。「他の楽器にも挑戦をして、芸の幅を一層広げたい」と意欲満々に語った。

詩吟宗家の家に生まれ、12歳で師範代になった。だが、歌手になる夢を捨てられず、高卒後に岐阜県から上京。新聞配達のアルバイトをしながら歌のレッスンをした苦労人だ。

歌手生活を「重みのある30年でした」と振り返り、95年に相次いで亡くなった両親への思いを口にした。「生んでくれてありがとう。でも、このステージを見てほしかった。夢でもいいから出てきて欲しい」。そして、今後の目標について「これからも、遥かな道を一歩ずつ、自分らしく歩んでいきたい」と誓った。

多くの苦労や悲しみさえも笑顔に変えて30年。ファンに歌声と幸せを届ける石原をこの日、約2000人のファンが見守った。