ABCテレビの看板番組「探偵!ナイトスクープ」(金曜午後11時17分)の初代プロデューサーの松本修氏(68)が7日、大阪市内で10月5日発売の新著「全国マン・チン分布考」(集英社インターナショナル)の出版会見を行った。

同著は女性器と男性器の呼び名に関する全国の分布図を調査したもので、95年に同番組に寄せられた依頼が放送禁止用語だったため、調査できず、放送できなかった。松本氏は「テレビでできないものは本にしてでも調査します」。依頼から23年、同番組で懸案となっていた「伝説の依頼」の調査が完了した。

95年に同番組に寄せられた京都の独身女性(当時24)からの依頼のきっかけは、京都の母が送ってきたまんじゅうが東京・新宿のオフィスでなくなってしまったときの出来事。

女性が「私のおまん、どこにいったか知りませんか?」

「私のおまんがないんです」

上司が「昼間から何を言っているんだ」と、職場で大騒ぎになった。女性は「京都ではおまんは女性が使う、きれいで上品な言葉なのに…」と恥ずかし思いをしたといい、もう2度と恥ずかしい思いをしないように、全国のどの地域でどの言葉がタブーとなるのか? 「方言文分布図」を作ってほしいというものだった。

ただ女性の依頼は「放送禁止用語」だったため、依頼に応えることはできなかった。「テレビでは無理でも別の形でやってみたい」と松本氏は女性器と男性器の各地方での呼び名、境界線の独自調査を始めた。文献として古本に約1000万円など、国内のフィールド調査など調査活動に退職金を含め私費計約3000万円を投じた。

幻の依頼から23年、ついに完成した「探偵本」に松本氏は「探偵!ナイトスクープを甘くみるな!」と胸を張った。

同番組に出演する間寛平(69)は「初めはアホちゃうかと。でも男やわ。自分を守ってへんもん。自分を捨ててる」と初代プロデューサーの“探偵魂”を絶賛した。

言葉の歴史を調べるうちに判明したこともあった。女性器の呼び名は「かわいい言葉だったのに、明治以降、西洋思想が入り、口に出すことが恥ずかしい言葉になった」と松本氏。女性の知り合いに本の感想を聞いたという寛平は「すごく楽しくなって、読み進むうちに『なるほど』とハマったと言っていた」と紹介した。