15日に75歳で死去した女優樹木希林さん(本名・内田啓子)が17日、都内斎場で荼毘(だび)に付された。夫の歌手内田裕也(78)長女也哉子(42)、也哉子の夫で俳優本木雅弘(52)ら親族と、特に親交の深かった女優浅田美代子(62)らに見守られて火葬された。30日に東京・南麻布の光林寺で営まれる本葬儀は、也哉子が喪主を務める。

希林さんのひつぎは17日午後1時39分、本木と也哉子、モデルUTA(20)伽羅(19)玄兎君(8)の3人の孫たちに見送られ、都内の自宅から運び出された。神妙な面持ちの本木の隣で、まだ8歳の玄兎君が手を合わせ、けなげにお辞儀をしていた。

伽羅が大事そうに抱えた遺影の写真は、青い着物姿の希林さんが、凜(りん)とした表情でたたずんでいるものだった。本木の所属事務所によると、写真は今年、撮影されたもので、也哉子が選んだという。その約3時間後、荼毘に付された希林さんの遺骨をUTAが抱え、無言の帰宅をした。

遺体は親族や浅田ら親しい関係者ら30人に見守られ、火葬された。出棺の際に夫の内田は姿を見せなかったが、火葬には立ち会った。長年、別居生活を送っていたが、内田もさすがに憔悴(しょうすい)し切った様子で、也哉子は涙を流していたという。

失意の底にある遺族に代わり、希林さんと家族同然の交流をしていた浅田が近況を語った。この1カ月はほぼ毎日、会っており、死去当日も見舞っていた。「ブドウを口に含んで『食べなさい』って。『おいしいね』と話すと、うれしそうでした。まさかその晩に…」と絶句した。

「母であり、姉であり、親友」という希林さんとの思い出は尽きない。「(希林さんに)金魚のフンみたいにくっついて歩いてました」という駆け出し時代。歌手吉田拓郎との結婚(後に離婚)に反対する両親を、希林さんが「そんなのあり? っていうやり方で説得してくれた」というエピソード…。思い出を語るうちに喪失感に襲われたのか、「これからどうすればいいんだろう」と涙ぐんだ。

希林さんは13年に「全身がん」を告白し、闘病生活を送っていた。死に顔を見た浅田は「すごく安らかな顔をしていました」と明かした。「あちらへ行っても、知り合いに声をかけられて『こっちに来ても忙しいのね』って言っている気がします。(西城)秀樹、森繁(久弥)さん、加藤(治子)さんとか、みんながいるから寂しくないと思う」。一足先に旅立った名優たちと、「寺内貫太郎一家」シリーズの続きをしているのだろうか。