15日に亡くなった女優樹木希林さん(享年75)の遺作となる映画「エリカ38」(日比遊一監督、来年公開予定)で、希林さんがスクリーンで見せる最後の姿が明らかになった。

同作は、長年親交のあった浅田美代子(62)が主演。62歳の年齢を38歳と偽って多額の金を集め、出資法違反で逮捕された事件をモチーフにした作品だ。希林さんの発案で映画化が動きだし、希林さんは主人公の女の母親役で出演した。

一部明らかになった映像では、2人が演じる母子が一軒家で童謡「赤とんぼ」を歌っている姿が見られる。母親役の希林さんは、大きな宝石のついた指輪をはめ、マニキュアを塗っている。2人の空虚でさみしげな表情が、物語全体への想像力をかきたてる。

作品は今年1月から4月にかけて撮影された。希林さんは、今年7月の0号試写と呼ばれる関係者だけの試写で、ほぼ完成した作品を見ることができたという。プロデューサーの奥山和由氏は、ツイッターに「希林さんが話してくれた映画論は一生の財産と思うほど深いものだった。それが教えてもらえる最後になってしまった。満身創痍(そうい)でも映画に対する意見を語る時は毅然(きぜん)としてた」とつづった。

10月開催の京都国際映画祭では、希林さんも出席して作品の発表をする予定だった。希林さんの出席はかなわぬものとなったが、浅田や奥山氏がレッドカーペットを歩く予定で準備を進めているという。