啓子、今までありがとう。見事な女性でした-。ミュージシャン内田裕也(78)が20日、今月15日に75歳で亡くなった妻の女優樹木希林さんへの別れの言葉をつづった。結婚、離婚裁判、別居…。離れて暮らしながらも、妻に対する尊敬の念がにじみ出る言葉が文面にあふれた。

妻との最期の別れから6日目。失意の内田が発表したコメントは希林さんへの思いがあふれていた。

内田は1973年(昭48)に結婚し、45年間にわたり「夫婦」だった妻の死に、精神的に大きなショックを受けた。関係者によると、「心の整理がつかない」と、これまでコメントを出してこなかった。

「最期は穏やかで綺麗(きれい)な顔でした。啓子(希林さんの本名)、今までありがとう」

「人を助け、人のために祈り、人に尽くしてきたので、天国に召されると思う」

「おつかれ様。安らかに眠ってください。見事な女性でした」

報道各社に送られたファクスには、感謝とねぎらい、別れて暮らしていても妻に対する尊敬の念を抱いていたことをうかがわせる、重みのある言葉がつづられた。

内田は73年に希林さんと結婚した。長女のエッセイスト内田也哉子(42)が誕生したが、その後、別居生活を送り、81年に内田が一方的に離婚届を提出。希林さんが「無効」と主張し、東京地裁に提訴。「離婚無効」の判決が下った。その後も別居のままだったが、一緒に旅行したり、CMで共演したりと、つかず離れずの「夫婦」関係を続けていた。

17日に都内の斎場で希林さんが荼毘(だび)に付された時は、車いすで斎場に駆けつけ、火葬に立ち会った。内田は憔悴(しょうすい)した様子で、希林さんと最期の別れをしたという。

◆内田夫妻 2011年(平23)4月、リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」CMで、結婚39年目にして初の夫婦共演。少し離れて座る和服姿の2人。希林さんが「結婚のいいところって何でしょうね」と問うと、内田が「ロックンロール!」と笑顔。希林さんが「こればっかり(笑い)」とあきれる内容だった。

同年、内田が一般女性への強要未遂などの疑いで逮捕されると、希林さんは会見で「被害に遭ったら言ってもらった方が内田のため。今回さらしてくれたスチュワーデスの方に『ありがとう』と思います。自分も逃げないで引き受ける」と話した。