演歌歌手坂本冬美(51)が26日、東京・台東区のレコード店「音のヨーロー堂」の店頭で新曲キャンペーンの歌唱を行った。31年前の新人時代を思い出しながら、この日発売のシングル「熊野地へ」を歌い上げた。

「レコード店前の路上で歌うのは、デビューの年以来31年ぶり。これが私の原点です。87年は100カ所くらいを回りました」。当時のことを「お客さまがほとんどいなくて、車だけがどんどん通っている。誰に向かって歌っているのか…という感じでした」と振り返った。地方に行くと、民家で歌うこともあったという。「牛小屋を抜けていって、民家でタンスをバックに歌うこともありました。それらが今につながっている」。

新曲は吉幾三が作詞作曲を手がけた書き下ろし作で、坂本の故郷・和歌山をテーマにしている。「女性が1人で熊野古道を旅する寂しくて切ない曲」と説明し「私にピッタリでしょ」と自虐的にアピールした。「特に2番には『あなたと昔 たどった中辺路(なかへち)よ』とあって、学生時代に初デートをしたのが中辺路なの」と、青春時代に思いをはせ、「この曲を何が何でもヒット曲につなげられるように頑張ります」と誓った。

今や女性演歌界をけん引する若手の第一人者だが、29回出場しているNHK紅白歌合戦への30回目の出場には危機感もあるという。「危ない。今年は危ないとちょっと覚悟をしています。でも、衣装は用意をしている。その心づもりです」と話した。【松本久】