フリーアナウンサー押阪忍(83)が担当するJFN「ワンポイント・フィットネス」が25周年を迎え、全国JFN系番組最長寿記録を更新中だ。“現役最年長アナウンサー”は、「5分ほどのミニ番組ですが、レギュラーがあるということで現役かと思っています」とこだわりを口にした。

92年にスタートし、放送回数は1300回を超え、26年目に突入している。「生意気に上から言うのでは鼻につく。初めて聞きましたでは説得力がない。『これはいいことを聞いた』と思っていただけるような、その辺の呼吸が25年たってやっと分かってきました」とほほ笑んだ。

苦難も多かった。17年12月、腹部大動脈瘤(りゅう)の手術は大きな転機となった。「手術の際、長い管を喉から通したのですが、その影響かしゃがれ声になりました。以前の収録の声を聞くと、われながらこんなに色つやがあったのかというくらい変わっていたんです。いつ千秋楽を迎えてもおかしくないと意識するようになりました」。

千秋楽を意識することで、原稿に向き合う姿勢も変わった。「用意された原稿は誰かの言葉の転載。私なりのアレンジを加えて命を吹き込み、押阪流にしています。5分番組とはいえ真剣勝負。1行にかけるという思いはあります」。

64年の東京オリンピック(五輪)では、主に女子バレーを実況。2年後の東京五輪は「テレビ前の桟敷席で楽しませていただきます。出る幕ではない」と笑った。【川田和博】

◆押阪忍(おしざか・しのぶ) 1935年(昭10)2月28日、岡山生まれ。58年、日本教育テレビ(現テレビ朝日)アナウンス部へ1期生として入社。65年に民放出身フリーアナウンサー第1号となる。69年から約10年半「ベルトクイズQ&Q」(TBS)司会を務めた。アナウンサー歴60年。現在、放送プロダクション「エス・オー・プロモーション」会長も務める。