脳科学者の茂木健一郎氏(55)が、オリエンタルラジオ中田敦彦がテレビ業界から干されているとする一部報道を受け、「テレビが中田さんを干すのではなく、中田さんがテレビを干すことこそを恐れるべき時代になっているのではないかと思う」と持論を展開した。

茂木氏は10日、ブログを更新。「オリラジの中田敦彦さんがテレビの仕事を『干されている』という趣旨のネットニュースが目に入ってきたので、一言」と書き出し、「このような記事には、『テレビ』が何といっても大切な仕事の場であり、そこに出ないことは『干される』ことだという前提があると思う。だが、果たしてそうだろうか?」と疑問を投げかけた。

インターネットの普及により若者のテレビ離れが進む中、「日本だけでなく世界を視野においたり、また、若い世代を始め、さまざまな文化に興味を持つひとへの浸透、影響力を考える人にとっては、テレビはもはや唯一の選択肢にはなっていない。優先順位が変わってしまったのだ」と指摘。「逆に言えば、もし、テレビが、縮小していく市場の中でまったりしているのではなくて、今のテレビがアウトリーチしていない層への影響力を維持、拡大したいと考えているのならば、中田さんや(ウーマンラッシュアワー)村本さん、(キングコング)西野さんといった『はじけもの』の力を借りないとどうしょうもないと思う」と私見を述べた。

茂木氏は昨年、「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」と発言して物議をかもしたが、この発言については「あの後、さまざまな芸人さんと話して、芸人さんというよりは、テレビというメディアの問題なのだということはよくわかった。芸人さんたちには、あらためておわびいたします」と謝罪した上で、「そのテレビだが、今のままでいいとはとても思えない」とあらためて問題提起した。

「今のメディアは、1年単位どころか、月単位で、風景が変わっていっているのだ。変わらないのが、変われないのがテレビだとしたら、また、テレビが『村』で誰かを『干す』とかなんとか言っていて、それを前提に雑誌が記事を書くようでは、ますます影響力は低下していくばかりだと思う」と茂木氏。「テレビが中田さんを干すのではなく、中田さんがテレビを干すことこそを恐れるべき時代になっているのではないかと思う」と持論を展開し、「テレビの制作の方々に、メディア状況の激変をよく考えて、未来を見据えた、斬新な番組つくりをお願いしたい。そうでないと、公共の電波や、せっかくのスタッフの努力がもったいない」と訴えた。