今月20日から行われる台湾公演「Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀」「Killer Rouge/星秀☆煌紅」に主演する星組トップスター紅(くれない)ゆずると、演出家の小柳奈穂子氏が12日、兵庫県宝塚市内で取材会を開いた。

紅は「いよいよ(台湾)上陸だな…そう思いますよ」と言い、前日夜に元星組トップ柚希礼音(ゆずき・れおん)と「ケンカした夢を見た」と笑った。

劇団の台湾公演は、13年に当時星組トップ柚希礼音の主演で星組公演、15年に花組の明日海りおが主演し、今回が3回目。紅は初回に、柚希とともに台湾公演に出演しており「その頃の思い出も残っていたのかな? そうかもしれませんけど、ただ、次に自分が(主演で台湾に)行ったらどういう思いだろうって考えたりしますからね」と続けた。

今公演の芝居は、台湾の伝統的な人形演劇「布袋劇」を原作にしたミュージカル。悪人や欲を抱く者たちをこらしめて楽しむ謎多き主人公・凜雪鴉(リンセツア)を演じ、衣装は「2番手の羽根ぐらい、いやそれ以上かも…重い」という。

すでに8、9月に大阪、東京で“プレ公演”を終え、つねにキセルを手にした役柄で「普段の感覚よりは相当、腕を上げていないといけないので、大阪公演千秋楽では右腕がつりました…。でも、東京は大丈夫だったので、慣れてきたなと」。心身ともに、役柄が自身に入り込んでいる。

とはいえ、東京公演も先月24日に終了しており、紅は「ちょっと時間が空いたので、忘れていることもある。それが功を奏したらいいなと思っています」と言い、新鮮さを感じながら台湾公演へ向かう。

小柳氏も「最初は手探りから、今は勢い、立ち回りとかも含めて、深まっている。もともとは人形劇なので、人形的な動きも加えてみたりしながら」と説明。宝塚歌劇の台湾公演については「宝塚のファンを増やすこと」を目的だとし「なので、まずは美しさ」を求めていると話す。

紅自身、もともと、まつげの選び方、カラーコンタクトの調整、化粧の仕方も劇場ごとに研究し、変えており、今回も台湾にあわせて「化粧品は全部持っていく」と笑いながら明かした。

ショーは前回の大劇場公演作に、現地のヒット音楽を織り交ぜ、現地の言葉でも歌う場面を加えた新演出版。紅が客席案内係に“女装”したファンにはおなじみの「紅子」も登場する。

紅による台湾公演のアナウンスは現地の言葉だが、分身キャラクター「紅子」は「屈しません。大阪弁でしゃべります」。大阪出身らしく、客席のファンをいじりながら大阪弁で触れ合うのが通例で、今回の大阪、東京公演でも盛り上がった。台湾でもそのスタイルを貫く。

これには、小柳氏も「(圧巻のお芝居から)途中笑わせて(かっこよく)締める。つかみ、真ん中と、真ん中も重要なんだなと思います」と、紅の芸達者ぶりに感心していた。

台湾公演は、台北の「國家兩廳 院國家戯劇院」で今月20~28日、高雄の「高雄市文化中心 至徳堂」で11月2~5日に上演される。