俳優で脚本・演出家の宅間孝行(48)とタレントや女優などで活躍する鈴木紗理奈(41)が30日、大阪市内で出演舞台「あいあい傘」(作・演出、宅間孝行)大阪公演(11月30日~12月4日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)の合同取材会に出席した。

宅間が主宰する演劇ユニット「タクフェス」の第6弾。07年に宅間の前の劇団「東京セレソンデラックス」で上演されて以来、11年ぶりの再演となる。

とある田舎町で起こる、父と娘の25年越しの再会物語を描いた感動作。宅間は「悪い人が出てこない毒の無い作品」と表現した。

11年前の上演時は、自ら立ち上げた劇団「東京セレソン-」が上昇気流に乗っていた時だったといい「新作を書くたびに、ホームランを打たないと次に続かないんじゃないかという怖さ」があったという。その中でファンから、作品に対する熱い意見をたくさん受け、次第に「非常に毒の無い作品」になっていったと明かした。

上演当時の11年前は「僕の中での手応えは、エンタイトルツーベースぐらいだった。当時は毎回ホームランを打つ感じだったので、自己評価的にいうと『出来の良くない子供』」と振り返った。

それでも、今回の再演にあたり、自身でも珍しいという内容に加筆修正を加え、キャストも変化。作品に対する角度を変えることで「僕の無かった部分を、お客さんから引っ張り出してもらった作品」に思いが変化したと話し「今回はホームランを打ってる感じ。11年前と随分、自己評価が変わった作品」と自信をのぞかせた。

昨年、映画初主演作「キセキの葉書」で海外映画祭の女優賞を獲得した鈴木は、意外にも今作が舞台初出演。「タクフェス」は昔から好きで、見に行けばいつも号泣していたそうで「自分が出たいとか、そういう感情にすらならないぐらい雲の上の舞台という存在」。初舞台が宅間の作品に決まった時は「夢のようという気持ちだった」と喜びを語っていた。

現在、宅間が監督を務めた同名映画も公開中で、舞台だけ、映画だけにしか描かれていない部分があるという。宅間は、映画を見て浮かんだ謎は「舞台では明確にその答えが描かれている。両方を見れば、お互いを理解できるような作り」と2作を楽しんでもらいたいとアピールした。

なお、ABCテレビでは大阪公演に先立ち、舞台「あいあい傘」を特集した特別番組(11月16日午前10時53分、関西ローカル)を放送する。