リリー・フランキー(54)が31日、都内で開催中の東京国際映画祭で上映された映画「万引き家族」(是枝裕和監督)のトークショーに出席し、今夏に実父が死去していたことを明かした。

この1年を振り返る中で、「(9月に)樹木さんが亡くなっていたり、短い間に樹木さんが亡くなる1カ月くらい前に僕の父親や僕の師匠が亡くなったり…。それでパルムドール(カンヌ映画祭最高賞)をいただいたり、ここ何カ月かでおめでとうとお悔やみを交互に聞いていた」と話した。リリーの父は、リリーの生い立ちや実体験をもとにしたベストセラー「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」にも登場する人物。リリーはイベント出席後、日刊スポーツなどの取材に、死去したのは8月で、「3歳までしか一緒に住んでなかったけどね」と答えた。

「万引き家族」は6月に日本で公開され、現在も公開中。リリーもカンヌ、北京、サンセバスチャン、トルコ・アンタリヤなど、世界中の映画祭で公式上映やイベントに立ち会った。「いろんなところで舞台あいさつをしているけど、こんなに長く見ていただけているというのは映画としては本当にうれしいことですね」。感謝を口にしつつも、「今年、よく考えたら『万引き家族』のことしかやっていない」と笑った。

年老いた母の年金と、万引きで得た物で生計を立てる軽犯罪一家と、その崩壊を描いた作品。リリーは同作で共演し、9月に死去した女優樹木希林さん(享年75)から「1つ欠点は、声に品がありすぎること」と指摘されたという。「やる前から思ってました(笑い)。声がいいもんですから、下品なおじさんをやるのに、声を変えたいなと思っていたら、希林さんが言ってましたね」。

さらに是枝監督からは、クランクイン前に1つだけリクエストがあったという。「『最初から最後まで、見るべきところのないお父さんでいてくれ』と言われました。見事にいいところが1つもないんです(笑い)」。自分が引き取って同居している少年が、万引きに失敗して捕まる場面でも、たしなめるのではなく「いつもうまくはいかないよ」と励ますような役どころだった。「もうちょっといいことを言いたいよ。言うことあるじゃん。(母親役の安藤)サクラだけ良いこと言ってずるい」と振り返った。

映画の大ヒットで、思わぬ被害? もあった。「この映画が日本でヒットするとは思ってませんでした。パルムドールを取ることは意外じゃなかったけど…。道とかで夏、食堂のおばちゃんとか、道でおじさんとかに、『おお、万引きの人』とよく言われました。評判が悪くなっていきますよ」と笑わせていた。