映画「女賭博師」など多くの映画、ドラマに出演した女優江波杏子(えなみ・きょうこ)さん(本名・野平香純=のひら・かすみ)が10月27日午後9時6分、肺気腫(慢性閉塞性肺疾患)の急性増悪のため、都内の病院で死去した。所属事務所が2日、発表した。76歳だった。東京都渋谷区出身。葬儀は近親者らによる密葬で既に営まれた。

江波さんは1959年(昭34)に大映ニューフェースとして芸能界入りし、映画「明日から大人だ」(60年)でデビュー、エキゾチックな顔立ちと8頭身のスタイルで注目された。しかし、日本人離れした外見がかえって役柄をせばめ、助演としての出演が続いた。

7年目で初めてつかんだ映画の主役が「女の賭場」(66年)。当初は若尾文子のために企画されたが、若尾が入浴中に転倒して2週間のけがを負ったため、代役出演だった。作品は大ヒットし、「女賭博師」シリーズは5年間で17本製作された。「昇り竜のお銀」を演じた江波さんは、「入ります!」のせりふとともに一気にスターになった。

その後、殺し屋、レーサーなど個性的役柄を演じることが多く、かっこいい女優の代表格となった。

転機になったのは、映画「津軽じょんがら節」(73年)。安キャバレーに勤める生活に疲れ年下の恋人と故郷に戻る女を演じ、数々の映画賞を受賞、演技派としても確固たる存在感を見せた。

舞台やテレビでも活躍した。舞台は71年に「どついてんか」に初出演。井上ひさしさん作の「雨」や、萬屋錦之介さんと共演し影響を受けた。