日本ツアーを開催中の英歌手ポール・マッカートニー(76)の東京ドーム、両国国技館公演をそれぞれ取材した。

公演は2時間半前後だが、いつも休憩を取らない。最後までステージ上を軽やかな足取りで行き来する。年齢を感じさせない体力に驚かされる。スリムなスタイルもキープし続けている。陰での努力も大きいと思う。

近年の日本公演をほぼ毎回、取材しているが、ザ・ビートルズの楽曲がほぼ半数以上を占めている。先月末に行った東京ドーム公演も計36曲披露したが、ザ・ビートルズの楽曲は21曲。今回は9月に5年ぶりの新作アルバムを発表したばかりだが、同アルバム収録曲は3曲だけだった。

日本人歌手は、新作アルバムを発表したばかりのツアーだと、公演の大半を新作アルバムの収録曲が占めるケースが多い。もちろんPRも兼ねているので、理解はできる。一方、ポールの公演は、「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」といったヒット曲がたっぷり盛り込まれている。ヒット曲が披露されると、ファンは歓声を上げて口ずさみ、会場は一体となった。

ポールが数多くのヒット曲を持っていることが大前提だが、公演にヒット曲が盛り込まれると、確実に観客は盛り上がる。今回もポールの公演を見ていると、ポールは公演を新作PRの場にはしていない。ヒット曲が聴きたいファンの気持ちに応える場にしていると、あらためて感じた。