落語家桂きん枝(67)が20日、大阪市北区の大阪天満宮で記者会見を開き、4代桂小文枝の襲名披露公演を、来年3月12日になんばグランド花月で行うと発表した。

来年は芸歴50周年を迎える節目の年。師匠である故5代目桂文枝さんの前名を襲名する日を、師匠の命日に選んだ。当日は桂文枝や三遊亭円楽ら、縁のある落語家が東西から集まり、襲名に花を添える。

上方落語の継承と発展に貢献した先人を顕彰する境内社「高坐招魂社(こうざしょうこんしゃ)」の前で意気込みを語った。師匠が生きていたら「きん枝、お前かい。他に誰かおらんのか」と、反対するのではと冗談を挟みながら「粛々とやっていきたい。(師匠にも)どこかで喜んでいただけたら」と力強く語った。

「小文枝」という名は一門でも「親しみがあるし、大事にしてきた名前」だと話し「『小』が付いても柔らかくて、非常にしっくりくる良い名前」と笑顔を見せた。ただ、襲名後も「人間自体は変わらない。深く考えないで、流れるように生きていきたい」と偉大な名に物おじせず、あくまでも自然体で今後の落語家人生に精進すると誓った。

襲名公演のチケットの値段は、落語の公演にしては高めの8000円。記念品が付いての値段だが、最初に値段を知った時には「ヒッとした」と、その高さに驚いたという。所属事務所側と値下げ交渉をしたというが、豪華な出演者が集まり「ギャラを払ったらとんとん。下手したら赤字」と説得されたことを明かした。

午後7時15分の開演で、当日は劇場の使用時間が限られているとも話し、大トリを飾る身ながら「最後に出る私は時間調節かな」と笑わせていた。来年は襲名公演を皮切りに全国10都市以上で約20公演を行う予定だという。