フリーアナウンサー有働由美子(49)が2日、大阪城ホールで第36回「サントリー1万人の第九」に朗読ゲストとして出演した。気持ちが入り過ぎたゆえの読み直しを悔やんだ。

黒のあでやかなドレスで登場し、「第九」の原詩となった詩人シラーの「歓喜に寄せて」を訳、編集した「よろこびのうた」を感情的に読み上げた。コンサート後には「舞い上がるというか、記憶に無いくらいの感じ」というほど緊張の大役を振り返った。

普段のアナウンサー業では、自分を抑えて意味を伝える朗読を心がけているというが、この日は詩に込められた感情を前面的に表現。読み直した場面には「その時はなんか『はぁ…』みたいな…」と、ショックを隠しきれず「アナウンサーの方を忘れてしまって、ついつい気持ちが入ってしまった」と苦笑いだった。

総監督、指揮を務めた佐渡裕(57)は「(朗読に)かなり注文を出した」と有働をカバーし「僕が思ってたことを消化されて、またもうひとつ違うものになって表れたって感じですね。すごくすてきだった」と大絶賛した。総合司会の羽鳥慎一(47)は同業である有働の朗読に「今年はアナウンサーさんなので今までで一番、緊張して聞いておりました。途中で吐きそうでした」と思いやって笑わせた。

中学生の頃に授業で嫌々覚えたと「第九」の記憶を話した有働は、1万人の大合唱に「圧倒された」と感動。「こんなに詩と向き合ったことはない」と今回の挑戦を通して「(大合唱で)こんな力をもったものになるんだって、あの時の自分に教えてあげたい」と笑顔だった。

フリー転向などがあった自身の今年については「激動の1年」と振り返り「自分ももっと頑張ろう」という来年への活力を大合唱からもらったと話した。

この日は、今年で20回目の指揮となった佐渡を中心に全国から集まった6歳から94歳まで10287人が歌声を合わせた。コンサートの模様は29日午後4時から、制作のMBSなどTBS系列で放送される。