桑田佳祐(62)の「平成三十年度! 第三回ひとり紅白歌合戦」最終公演を取材した。終始、遊び心が満載で、最後までステージにくぎ付けになった。

桑田はオープニング映像で、“本家”NHK紅白総合司会の内村光良(54)にちなみ、内村照代に扮(ふん)した。今年の紅組司会・広瀬すず、白組司会の櫻井翔にちなんだマネキンの紅組司会・広瀬ベル、白組司会・櫻井ジョーを両脇に置き、開幕を宣言。会場は一気に盛り上がった。

MCも少なく、4時間で一気に55曲を披露。桑田が歌う西城秀樹さんの「Y.M.C.A.」、「特別枠」で登場したサザンオールスターズが歌うSMAPの「世界に一つだけの花」も良かった。桑田の歌声とともに、観客も総立ちで口ずさみながら踊り、一体感があった。和田アキ子ならぬ和田アキ男として歌う「古い日記」には、和田アキ子、アントニオ猪木、内田裕也の巨大人形が登場。桑田が巨大人形に囲まれながら歌う演出も、見ていて楽しかった。

個人的には、最近の“本家”紅白に最初から最後まで、くぎ付けになることはなくなった。考えてみると、中継が多いのも一因だ。中継になると、紅白の会場の一体感や盛り上がりも一気になくなるように見える。視聴者としても、紅白の熱戦から一気に離れ、しらけた気持ちになる。

特別企画も多くなった。もちろん大物歌手を見たいが、紅白対決色が薄まり、他の大型音楽番組と変わらなくなった気がする。

桑田の遊び心とメッセージがしっかり刻まれた「ひとり紅白」の方が、よほど誰もが最初から最後まで、楽しめると思う。1つのステージで次々と華やかな演出を繰り出し、観客を引きつける。とてもシンプルだが、桑田の「ひとり紅白」を見て、本来、“本家”が持っていた楽しさも、久々に懐かしく思い出した。