11月30日に肺炎で亡くなった製作プロダクション、セントラル・アーツの社長でプロデューサーの黒沢満さん(享年85)の告別式が7日、東京都港区の青山葬儀所で営まれ、吉永小百合(73)藤竜也(77)らが参列した。

ドラマ、映画「あぶない刑事」シリーズをはじめ、黒沢さんが手掛けた数々の作品に出演した仲村トオル(53)は、号泣しながら10分以上の弔辞を読んだ。

仲村は、デビューの主演映画「ビー・バップ・ハイスクール」(85年)のオーディションで、黒沢さんと出会った。「僕にとっては父親を亡くした次の年に、黒沢さんと出会うことができました。劇的に人生が良い方向に変わったのは、黒沢さんのおかげです。役者を続けたいと言ったら『それならうちにいればいい。(松田)優作もいるから』と言ってくださいました。本当にうれしかったです」と感謝した。

翌年始まった「あぶデカ」で出会った舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、木の実ナナ、中条静夫さんら先輩俳優や、スタッフとの出会いにも感謝し「黒沢さんのおかげです。『あぶない刑事』の現場は比喩ではなく、僕のふるさとです!」と呼び掛けた。

喪主で長男黒沢純(まこと)さんには、泣かないで(弔辞を)やって、と言われたことを明かしたが、仲村は「ちょっと無理ですね」と泣き続けた。

黒沢さんを見舞った時「良くなったらうどんを食べに行きましょう」「もっと良くなったら箱根あたりの温泉に行きましょう」「もっともっと良くなったら、『あぶない刑事』の台本に、舘さんと柴田さんにサインをしてもらって、それをネットで売って、またスペインに行きましょう」などと、一緒に行った旅を振り返り、冗談を交えながら話をしたという。仲村は「1つも実現できませんでした」と、むせび泣いた。

最後まで黒沢さんへの感謝は尽きず、仲村は「もし来世というものがあるなら、また黒沢さんの手のひらの上で、すばらしい人と出会う旅をしたいです。どんなに語っても、していただいたことの100万分の1にもなりません。みんな黒沢さんが好きでした。おつかれさまでした」と締めくくった。

ほかに石橋蓮司、吉川晃司、松田美由紀、松田翔太らが参列した。戒名は此暁院月光日満居士(しぎょういんげっこうにちまんこじ)。