13年に史上初の50回出場を果たし、紅白を卒業した北島三郎(82)が5年ぶりに“ホーム”に帰ってきた。この日のリハーサル後、報道陣の取材に応じた北島は「今年は平成最後の紅白。昭和、平成と支えてもらった皆さんに恩返しがしたい」。14年以降も毎年、NHKから水面下で出演を打診されたが「イエス」とは言わなかった。それが今年は並々ならぬ決意で「特別企画」としてステージに立つ。

念頭には「恩返し」と、各地で起きた自然災害がある。6月に大阪府北部地震、9月には北海道胆振東部地震が発生。台風被害も多かった。「私の声で良かったら、皆さんを元気づけたい。来年こそ災害のない穏やかな年にしたいと願っているんです」。次男で、今年2月に死去した大地土子さんへの思いもある。「旅立った寂しさは今も残っていますけど、『そんなこと、いつまでも考えていないで頑張れや』という息子の声が聞こえる気がします」。自身に言い聞かせるように話した。

ステージは、弟子の北山たけし(44)と大江裕(29)が、ユニット「北島兄弟」として「ブラザー」を歌唱した後に登場。代表曲「まつり」のイントロが流れると、巨大なカブトが割れ、しゃちほこに乗った北島が登場するという。「ワーッと出てくるから、みんなビックリすると思うよ」。いたずらっ子のような笑顔を見せた。

16年に頸椎(けいつい)症性脊髄症の手術を受け、今も万全の体調ではない。だが、関係者は「ここ数年ないくらいにすごく声も出ているし、気合が入っている」と話す。いよいよ明日に迫った平成最後となる歌の祭典。生気のみなぎった北島が「まつり」熱唱で盛り上げる。【松本久】