昨年12月28日に授賞式が行われた「日刊スポーツ映画大賞・裕次郎賞」で、俳優松坂桃李(30)が主演男優賞を受賞した。09年2月にテレビ朝日系「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンレッドで主演デビューした時以来、約10年ぶりにインタビューした。

当時は、主人公の志葉丈瑠から、戦う時にシンケンレッドに変身していたのだが、この10年間で大きく化けた。湘南生まれで、純朴なイケメン。線の細い、似たようなイケメンばかりの中、その役者として“素材感”は群を抜いていた。

12年には映画「ツナグ」「麒麟の翼~劇場版・新参者~」の演技で石原裕次郎新人賞を受賞。17年のR-15指定の映画「彼女がその名を知らない鳥たち」では、蒼井優を相手にペラッペラッな最低のクズ男役を、見事に演じた。クズっぷりに拍車をかける濡れ場に「あの桃李君が…」と心配した(笑い)。

昨年は映画「不能犯」「娼年」に主演、役所広司主演の「孤狼の血」では役所広司演じる無頼な暴力団担当刑事にくらいつく若手刑事を演じた。

「不能犯」では、マインドコントロールで殺人事件を起こすサイコな役。そしてR-18指定の「娼年」では、恋愛にも学生生活にも飽きて、本当の愛を探すために“男性版娼婦”になる。16年に舞台で上演された作品の映画化。セックスシーンが多く、松坂桃李の美尻が、まぶたに焼き付いているほど(笑い)。

この2つの作品で、松坂桃李は主演男優賞を受賞。授賞式当日、松坂に会った時に「おめでとう」より先に「ありがとう」という言葉が口をついて出てきた。松坂の成長、受賞は、本人のみならず、周囲の人間にとっても喜びだ。

監督、スタッフらとの、それぞれの二人三脚に感謝する松坂。授賞式の後に、作品選びについて聞いてみた。なぜ、これほどまでに大胆に挑戦するのかと。

「20代の最後で、できるだけのことをやりたいと思った。今の立場で考えられることを全てやった」。相談したのは、デビューの時から松坂を担当する女性マネジャー。「いろいろと話し合って決めました。ハードルが高ければ、実りは大きいと。マインドの強い方で、二人三脚が心強いですね」。取材を受ける松坂を頼もしげに見ながら、女性マネジャーはうなずいていた。

いい役者は、自身だけではなく、その周りの人間も成長させる。できれば、あやかりたいものだ(笑い)。