12日に亡くなった市原悦子さん(享年82)出演の、15年公開映画「あん」の河瀬直美監督(49)がコメントを発表した。

同作では、昨年亡くなった樹木希林さん(享年75)と市原さんが友人役で出演している。

「去年の秋、樹木希林さんを亡くし、今年に入ってすぐの市原悦子さんの訃報に触れ、2015年に撮影した『あん』の現場で、私がどれだけ彼女たちの愛に見守られていたのかということに、いま、思い至ります。

あのころ、夫を亡くされてすぐの市原悦子さんはおひとりで生きてゆく力を失いかけておられました。そんな中『あん』の徳江(=樹木さんが演じた役名)さんが、悦子さんの旦那さまと同じ樹木葬を選んだことに深く感銘を受け『あん』への出演を決めてくださいました。それは、自らの表現を通して、生きる力をみなぎらせた瞬間でもあったのです。

生前は妹ができたようだわ…と、かわいがっていただきました。表現の世界における大先輩…演者として、人として、女性として、いつもかわいらしくて、真摯(しんし)で、寡黙で、実直な悦子さんともう会えないのか…と、思うと涙があふれてきます。

それでも、撮影現場の、あの光が降りそそいだ森の中で、ケラケラと笑っていた悦子さんが、天国で希林さんと再会して、『あら、なおみ監督もマスコミの皆さんに私たちのことでコメント求められてたいへんね』って、クスクス笑っているような気もしています。

市原悦子さん、病と闘いながらも、最期まで、私たちに、演じることの悦びを伝えてくださってありがとうございました。あなたと過ごしたかけがえのない時間は私の中で永遠です」