EXILEのAKIRA(37)が主演する映画「この道」(佐々部清監督)が公開中だ。童謡100周年を記念した作品で、音楽家・山田耕筰役を熱演。バイオリンなど楽器の演奏、指揮だけでなく、歌唱も解禁するなど、新境地を見せている。このほど取材に応じ、今後についても語った。

 

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「この道」は童謡100周年を記念した作品。大森南朋(46)演じる北原白秋の波乱に満ちた人生を、AKIRA演じる山田耕筰との友情とともに描いている。

「日本の歌曲を作り上げて来た方を演じなければならないプレッシャーはとてつもなくありました。お墓参りに行かせていただいたり、たくさん勉強もさせていただきましたが、今回は楽器、音楽に触れることが多くて、そのことで山田耕筰さんを感じました。改めて、海外の音楽と日本の言葉をつなげた奇才だと思いました」。

劇中では、バイオリンやピアノの演奏をはじめ、指揮者もこなしている。

「バイオリンを弾くということでは、パフォーマーであることは役立ちました。3カ月は音が出ないとか、人によっては1年苦戦するとも聞いてたんですけど、1日で出たんです(笑い)。体幹とか軸となる筋肉がしっかりしていたことが良かったようで、劇中では全部自分の音なので、注目してほしいです」

撮影前の準備期間は、EXILE THE SECONDのツアーの真っ最中だった。普段はパフォーマーだが、歌唱シーンもある。

「ライブ会場には、バイオリンと指揮棒を必ず持っていきました。歌うのも、ただ哀愁を漂わせて口ずさむだけなんですけど、しっかりと歌えた方がいいので…。SHOKICHIとか、NESMITHについているボイトレの先生をこっそりつかまえて練習もしました。先生からは、いい声してるからこれからも歌いなよって言われたんですけど、さすがに(EXILEの)ボーカルの前で歌いたいとは口がさけても言えないですね…。今後、ミュージカルとか、ミュージカル映画の役をいただいた時には、少し自信につながると思います。ボーカルの気持ちを味わえたのも、良かったです(笑い)」

時代は違えど、同じ音楽に携わる者として感じることも多かったという。

「関東大震災で無力さを知って、それでも心をいやせないかと北原と山田が手を組んで作品づくりをしていくわけですが、最後は戦争が始まって、戦争に送り出す歌を作らなくてはならないという無念さに比べるとおこがましいんですけど、EXILEも東日本大震災のときに無力さを感じて、自分たちらしく何が出来るのかを考えたときに、エンターテインメントを届けていくしかないと『Rising Sun』を作りました。もし自分たちの思いに反した曲を作りなさい、踊りなさいと言われたら、それほど無念なことはないと思うんです。そう考えると、自分たちが置かれている立場、時代とともに生きていく人の感覚は共感できたと思います」

EXILEの約3年間の充電期間は、役者に専念する道もあったが、SECONDに所属し、「EXILE」をより意識して活動してきた。

「EXILEに加入して十数年がたって、ようやく本当の意味で『EXILE AKIRA』と言えるような活動をして来られたと自分の中では思います。EXILEとしてのあり方、これまでのスタイル、魂…。SECONDの活動も含めて、EXILEに入って初めてど真ん中で過ごしてきたと思います。俳優としての見方も、昔はドラマとか映画に何本出て…とか、数字にこだわっていました。でもそういうことじゃなくて、本当の意味で1つ1つが重要だと感じられるようになりました」

今年はグループでの活動はもちろん、海外での活動も視野に入れている。

「これからのEXILEはもっと大きくなっていくと思いますし、メンバーがそれぞれの世界に点在して、そのど真ん中にEXILEがあったとしたら、もう1ランク上にいけると思う。個人としては、改めて蓄えの時期なのかなと思います。語学を含めてスキルアップして、2020年より先のビジョンを見据えていこうと思っています。これまでは、ハリウッドに挑戦しますとか、恥ずかしかったり、周りの目を気にして堂々と言えない自分がいたんですけど、海外での仕事が増えて、それは誰もが出来ることではないんじゃないかなっていう風に思ったし、可能性を広げることができるんじゃないかと思うと、海外にもどんどん挑戦していきたいと思います」。