1月30日に公演初日を迎えた中島みゆき(66)の音楽劇「夜会 VOL.20 リトル・トーキョー」を取材した。いろいろと新鮮だったので記しておきたい。

「夜会」は「言葉の実験場」をコンセプトに中島が構成、演出、作詞、作曲、主演を務める。89年から続く催しで、2~3年に1度のペースで行われている。

記者が初めて中島みゆきの存在を知ったのは、大ブームとなったドラマ「家なき子」の主題歌「空と君のあいだに」だったと思う。有名な「糸」や「地上の星」、ラジオパーソナリティーとしての個性は知っているものの、詳しくはない。聞けば「夜会」は1席2万円ながら即完のプラチナシートということで、取材ながら恐縮してしまった。

今作は冬季休業中のクラシックホテルを舞台にしたファンタジー作。絶賛上演中のため内容に深く触れることは避けるが、鑑賞してある種のショックを受けた。演劇でもない、コンサートでもない。これはどういう話? とぼんやり思考しているところを、中島の圧倒的な歌唱にグイッと引き戻される。クライマックスは神々しささえあった。中島の演技は愛らしく、年齢を疑ってしまうほど。初日のカーテンコールでセリフを間違えたことをわびる姿も、またチャーミングだった。結果として「すごいものを見た」となり、開演前「どうせなら知っている曲を聞きたかったな~」などと思っていた自分を心の中で正座させた。

会場に若いファンが多かったことにも驚いた。先月26日放送のNHK音楽番組「SONGS」(土曜午後11時)は“中島ファン”の土屋太鳳、ももクロ百田夏菜子、いきものがかり吉岡聖恵が出演し、魅力を語った。視聴率は3・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、直近3カ月で最も高かった。

中島は70、80、90、00年代でシングルチャート1位を獲得した唯一の女性アーティスト。「世代を超えて愛される」とはこういう人のことを言うのかと、今更ながら勉強させていただきました。