NHKの定例会長会見が7日、都内で行われ、強制性交の疑いで逮捕された俳優新井浩文容疑者(40)に対し、同局が損害賠償請求を検討していることが分かった。会見で編成局幹部が話した。

有料動画配信サービス「NHKオンデマンド」の同容疑者出演10番組を配信停止したためという。

配信停止になったのは「フェイクニュース」「NHKスペシャル『ドラマ 龍馬 最後の30日』」「スペシャルドラマ『龍馬の遺言』」「真田丸」「トットてれび」「64(ロクヨン)」「戦後70年『一番電車が走った』」「開拓者たち」「NHKスペシャル ドラマ 最後の戦犯」「BS1スペシャル『月へ、夢を~月面探査レースに挑んだ若者たち』」の10番組。新井容疑者は派遣型マッサージ店の女性に乱暴したとして1日、逮捕されたが、2日午前1時30分には全10番組の配信が停止された。

編成局幹部はこの日、報道陣から違約金などの有無を問われ「適切に判断しております。損害賠償も含めて検討しているとご理解いただきたい」と明かした。同容疑者は5日付で所属事務所から契約を解除された。請求先が事務所か同容疑者になるかには、幹部は「そこも含めて検討している」。配信停止の理由を「逮捕を受け、総合的に判断した」と説明し、再開時期は未定という。

ドラマの制作費は一般的に1話数千万円とされ、連ドラの場合は億単位となるため損害額は計算しやすい。一方、配信の場合は難しく関係者は「各番組の料金以外に、NHKオンデマンドでも月額972円と設定されているような、見放題のパックがあり、損害額の算出は容易ではない」と話している。上田良一会長は「私としては、配信見合わせは大変残念。遺憾に思っています」と語った。【中野由喜】