宝塚歌劇団の花組トップ明日海(あすみ)りおが、1000人の女性と浮名を流した主人公を演じた「祝祭喜歌劇 CASANOVA」は8日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。

今作は明日海の3人目相手役、トップ娘役仙名彩世(せんな・あやせ)の退団公演。歌、ダンス、芝居すべてに秀でた実力派娘役と、14年の100周年イヤー“最後のトップ”明日海とのコンビでは、最後の公演になる。

1000人以上の女性と浮名を流し、セリフでは「1000人の女を抱いた」と紹介され、現れた明日海。希代のプレーボーイ・カサノヴァにふんし、冒頭、男性陣からの尋問を受けた後に転換。大勢の娘役に囲まれ、スタートした。

「これだけたくさんの女性をとりこにするからには、説得力を持たせて演じなくては」と話していた明日海は、トップ5年目で5組最長キャリアを生かしたたたずまい。娘役に、共演の組メンバーに、客席に、穏やかに、そして時にはニヒルに、笑みを振りまいた。

相手役を務めた仙名は一昨年2月、娘役としては超遅咲きの9年目(当時)でトップに就いた。以来、本拠地4作で明日海とコンビを組み、今作がサヨナラ。修道院から出てきたばかりで、脱獄してきた主人公と偶然会い、恋に落ちるヒロインを情感豊かに演じた。

また、人気スター鳳月杏(ほうづき・あん)は、物語の鍵を握る女性役に挑戦し、好演している。

今作の作・演出は劇団の生田大和氏。楽曲は「1789-バスティーユの恋人たち-」などで知られるフランスの作曲家、ドーヴ・アチア氏が担当し、この日は、初日開演前の通し稽古から観劇した。

アチア氏は、稽古後に取材に応じ明日海、仙名のトップコンビを「魔法のようなたいへん魅力的なカップル。とても感動した。3拍子そろった万能アーティストだ」と絶賛。スピード感ある演出、芝居の流れとともに、花組メンバーの歌唱力にも驚いたといい、女役に臨んだ鳳月も「すばらしかった」とたたえた。

また、楽曲のみならず、明日海の演技力にも「観客、女性の方がほれこむ理由がわかりました。プレーボーイは男性も女性も敬遠するものだが、彼女のプレーボーイは気のいいプレーボーイ。ぜひ、友達になりたいね」と話していた。

今公演は、宝塚大劇場で3月11日まで。東京宝塚劇場は3月29日~4月28日。仙名は東京公演千秋楽をもって退団する。