先日放送の「マツコ会議」(日本テレビ系)で「Vチューバー」を取り上げていた。

2Dや3Dのアバターを使って動画投稿や配信活動をしている人-要は自身をアニメ映像に置き換えて配信活動を行うバーチャル・ユーチューバーのことで、美少女キャラクターの正体が実はオッサンだったという裏側をのぞく趣向だった。

この番組らしい切り口は、興味深かったが、日常的にユーチューブを見る方ではないので、Vチューバーの魅力はもう一つピンと来なかった。

その実力を実感したのは、米映画「アリータ バトル・エンジェル」(22日公開)のPRイベントだ。ローサ・サラザール(33)、クリストフ・ヴァルツ(62)の主演コンビにロバート・ロドリゲス監督(50)、ジョン・ランドー・プロデューサー(58)も顔をそろえた日本のユーチューバーとの交流会でのことだ。このイベントを仕切ったのがVチューバーの代表格キズナアイだったのだ。

等身大のモニターからキズナアイが話しかけると、これが大ウケだった。サラザールは「なんと愛らしいの。できることなら家に連れて帰りたい!」。悪役の印象が強いヴァルツも顔を崩して「恋人はいるの?」。当意即妙な答を返し、そばによると手を握るそぶりや、ハグの動作までするキズナアイがすっかり気に入った様子だった。確かに美少女キャラとのざっくばらんなやりとりは見ていてちょっとうらやましくもなる。

「アリータ」の原作が木城ゆきとさん(51)のコミック「銃夢」であり、日本のマンガ文化へのリスペクトが背景にあるのは間違いないが、セーラー服姿のキャラクターにハリウッド俳優たちが一喜一憂する姿は驚きだった。

キズナアイの登録者数は360万人を超えるという。その理由が何となく分かる気がした。