11月24日付で退団を発表した宝塚歌劇団の花組トップスター、明日海(あすみ)りおが13日、大阪市内のホテルで会見を開いた。

明日海は、劇団100周年後の「タカラヅカ新世紀」をけん引してきた顔の1人で、5組最長キャリアの「トップ・オブ・トップ」。

白いスーツに青いシャツ。素顔のさわやかさを増す衣装で、冒頭のあいさつから「本日はお忙しい中…」と切り出すと、涙声。ファンや組子への思いを語るうちに、涙があふれ、自ら「ハンカチ持ってます」と笑わせながらも涙をぬぐった。

就任約5年半での退団。卒業を意識し始めたのは、昨年1月「ポーの一族」の公演当時だったといい、11日の「CASANOVA」宝塚大劇場公演千秋楽前日に、組子には伝えた。

「もうそろそろと分かっていると思っていたけど、私が話しだすと、みんなポロポロ泣いてくれて。人の涙を見てうれしいのも変ですけど、うれしかったです」

翌日の千秋楽では、相手娘役の仙名彩世の卒業を控えていたため、号泣する組子を見て「私がしっかりして送り出さねば」と決意したという。

明日海は月組で育ち、12年4月に劇団史上初の「月組準トップ」に就き、花組へ移った後の14年5月に同組トップに就いた。相手娘役は就任時の蘭乃はなから、14年11月に花乃まりあ、17年2月に仙名彩世を迎えていた。

仙名との同時退団も視野にあったが「それまで(の)娘役さんがいつも私をたててくれているのに、卒業のその日は主役になる。ゆきちゃん(仙名)も同じように見送りたかった」と言い、仙名を見送っての退団を選んだ。

組子に退団を伝え「すっきりしました」。03年の入団から月組で育ち「月組を離れる時が一番つらかった」。それでも、劇団最古の花組で男役としての素養をさらに磨き「花組のトップスターとして、恥ずかしくない舞台人になろうと頑張れたことが、私の宝塚人生で一番幸せなことだったと思う」と胸を張った。

会見に同席した小川友次理事長からは「ここまで大劇場主演9作で、すべて稼働率100%以上は例がない。御礼を言いたい」と、礼を言われる異例の展開もあったが、明日海は「私の力だけでは…」と謙遜。

ただ、月組時代に準トップとして本拠地作主演を経験してからのトップ就任は「あの時頑張れたから、少々のことがあっても大丈夫と思えるようになった」。当時月組トップだった先輩の龍真咲には「トップさんなのに(自身と役代わりで)2番手の役も覚えて…。自分がトップになってから、よく大変さが分かりました。今、本当にありがたく思います」と感謝した。

退団公演は「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」「シャルム!」。宝塚大劇場は8月23日開幕、東京宝塚劇場千秋楽の11月24日をもって退団する。