日刊スポーツ本紙で連載中の平成の芸能界を振り返る「平成プレーバック」のために、俳優の石田純一さん(65)をインタビューした。

ダメで元々と、96年の「不倫は文化」騒動を振り返ってもらおうと取材を依頼したのだが、案外スッキリと受けていただけた。

96年10月に「不倫は文化」と発言したと報じられた騒動のいきさつを聞いたのだが、それ以上に楽しい話を聞かせてもらった。平成の初めに芸能記者というナンパな商売をやっていた者にとっては「石田純一は神」にも等しい存在だった。

88年フジテレビ系「抱きしめたい!」、89年映画「愛と平成の色男」、TBS系「オイシーのが好き!」、90年TBS系「想い出にかわるまで」、92年フジテレビ系「悲しいほどお天気」、94年TBS系「長男の嫁」などの作品についてしゃべりまくって、聞きまくった。

浅野温子、鈴木京香、松下由樹、いしだ壱成、浅野ゆう子などの、ドラマの出演者以外に、脚本家の内館牧子さん、フジテレビ大多亮、TBS遠藤環、貴島誠一郎といったお世話になったプロデューサーについてもお話しを聞かせていただいた。

バブルの時代を振り返る記者に、石田さんは「キラキラしてましたね。みんな目が輝いていた。エネルギーが満ちあふれていた。お金だけじゃなく、エネルギーがあった」と振り返った。そして「日本は今シュリンク、縮んでいる」と分析した。

石田さんは現在、6歳、2歳、1歳のお子さんの子育てをしている。東京にいる時は、子供の送り迎えもする育メンだ。「今、一番上の理汰郎は6歳。『お母様、行ってきます』なんていっているのを見ると、本当にかわいいんです」。そして「それが『軍神』になって返ってくるようなことにだけは、ならないようにしなくては」と右傾化する社会に懸念を示す。

安倍晋三首相とは、「20代のころからの友達でもありました」と言う。変わりゆく時代への危機感が、俳優石田純一に警鐘を鳴らさせている。

途中から言葉狩りや、政治の堅めの話が中心になったが、最後には「らしい話」で締めた。「政治とは文化。そういうものを守るために挑戦して行かなくては。挑戦という意味ではやましい気持ちも大切(笑い)。それもエネルギーだ。僕が遊んで元気でいるのも、家族のため」と話した。

挑戦する、ということについては恋愛を例に挙げた。「友達関係だったのが、好きになって、関係が壊れるのを恐れてあきらめてしまうことがある。でも、仮にお付き合いができなくても、相手にしてみたら『私のこと、気があるんだ』みたいな、面白い、新しい関係のスタートだと思ったほうがいい」。その言葉に背中を押された気がした。

やっぱり石田純一は神だった。新たな勇気をもらえた(笑い)。【小谷野俊哉】